TREE DOCTOR EXAM · SYSTEMATIC REFERENCE V6.0.1

各論 第8章 樹木と環境ストレス

収録10問。ワイド画面では左に問題、右に正答・解説を表示し、狭い画面では縦方向に読み進められます。

各論 第8章 樹木と環境ストレス

各問題のランク・深度は詳細分析の正本です。学習状態は明示的に選択してください。

各論 第8章 樹木と環境ストレス第1節・1|日本の気候と地球温暖化の関係
AA深度II手引き 各論8章・1節・1R4-05C|重点誤答型

01気象庁のサクラ生物季節観測

問題

気象庁では、生物季節観測のひとつとして、1953年から全国でさくらの開花日・満開日を観測している。次のサクラの開花に関する記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 気象庁の生物季節観測では、観測地点ごとに対象となる標本木が定められ、気象庁職員が目視で標本木を観測している。
  2. 気象庁の生物季節観測では、全国すべての標本木のサクラに染井吉野が用いられている。
  3. 気象庁では、1953年から現在に至るまで、すべて同じ地点でサクラの観測が継続されている。
  4. 気象庁では、サクラの開花日・満開日の観測結果のほか、1953年から現在まで開花日の予想を毎年発表している。
  5. 気象庁では、サクラの満開日について、累計開花率が100%に達した日と定義している。
R4-05手引き 各論8章・1節・1|日本の気候と地球温暖化の関係
設問上の正解1

気象台等では観測地点ごとに標本木を定め、職員が目視して開花日・満開日を判定する。長期的に同じ基準で記録することが気候変動の指標価値を生む。

注意すべき選択肢

2

地域の気候に適したサクラを標本木とするため、全国すべてがソメイヨシノではない。観測地点ごとの標本木・樹種を用いる。

4

気象庁の生物季節観測と、民間等が行う開花予想を混同している。気象庁の開花予想は現在継続されていない。長期観測データの公表と将来日の予想を区別する。

5

満開日は花が100%開いた日ではなく、約80%以上が開花した状態を基準にする。開花日と満開日の観測基準を定義で押さえる。

基本解説

生物季節観測は、標本木を職員が同じ基準で目視する

試験で押さえる事項
  • 標本木は地域に応じたサクラを用いるため、全国すべてがソメイヨシノではない。
  • 都市化、庁舎移転、木の衰弱・更新などにより、観測地点・標本木が全期間で完全に同一とは限らない。
  • 気象庁が行うのは観測であり、民間の開花予想と区別する。気象庁による開花予想は現在継続されていない。
  • 満開日は約80%以上の花が開いた状態を基準とし、100%開花ではない。
用語を押さえる
生物季節
開花、紅葉、初見など、生物の季節的現象。気温など環境変化への応答を長期比較できる。

樹木医の手引き 第4版 p.450 ES版 69頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
C深度II手引き 各論8章・1節・2R1-14A|選択肢別判定型

02雹害

問題

日本における雹(ひょう)害に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 積乱雲から降ってくる氷粒のうち、直径5mm以上のものを雹、直径5mm未満のものを霰(あられ)という。
  2. 年間の降雹回数は緯度が低い地域ほど多い傾向にある。
  3. 降雹による樹木の被害は、数百km規模の広範囲で同時に、かつ短時間に発生する。
  4. 降雹直後には可視害は確認できないが、雹が衝突した部分の組織が壊死して次第にクロロシスが広がるのが典型的な雹害である。
  5. 雹の粒径が小さいほど落下速度が大きいが質量が小さいので、樹木への傷害の程度と粒径との間に関連は見られない。
R1-14手引き 各論8章・1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
設問上の正解1

積乱雲から降る氷粒のうち、直径5mm以上を雹、5mm未満を霰と区分する。

  1. ○
    選択肢1

    気象観測上、直径5 mm以上の氷の粒を雹、5 mm未満を霰として区別する。

  2. ×
    選択肢2

    雹の発生頻度は積乱雲の発達条件、地形、季節などに左右され、緯度が低いほど一律に高くなるとはいえない。

    緯度だけでなく、強い上昇気流を生む大気の不安定と地域特性で捉える。
  3. ×
    選択肢3

    雹は発達した積乱雲の局地的な通過域で降るため、被害域は帯状・局地的になりやすい。数百kmの広域へ同時に一様な被害を出すとは限らない。

    被害分布の局地性と、降雹時刻・積乱雲の移動経路を照合する。
  4. ×
    選択肢4

    雹は葉・枝・樹皮へ打撲、裂傷、欠損などの物理傷害を直ちに生じさせる。後日壊死や変色が明瞭になることはあっても、初期に外見的被害がないとはいえない。

    衝突面側の傷、同時発生、被害方向を早期診断点にする。
  5. ×
    選択肢5

    一般に大きな雹ほど質量と落下エネルギーが増し、落下速度も大きくなりやすいため、粒径は被害程度と関係する。

    粒径、風速、落下方向、組織の硬さを被害強度の要因として考える。
基本解説

雹は直径5mm以上――衝突直後から物理傷が見える

試験で押さえる事項
  • 降雹は局地性が強く、数百km規模で一様に被害が出るとは限らない。
  • 葉の裂傷、孔、枝・幹の打痕など物理的傷害は降雹直後から確認できる。後に壊死や変色が明瞭になることもある。
  • 一般に粒径・質量・落下速度が増すほど衝突エネルギーが大きくなり、被害程度と無関係ではない。
  • 降雹頻度は地形・季節・積乱雲発達条件に左右され、単純に低緯度ほど多いとはしない。
用語を押さえる
クロロシス
葉緑素の減少などにより葉が黄白化する症状。雹害の定義ではなく、多様な障害で現れる。

樹木医の手引き 第4版 p.451 ES版 69-70頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
AA深度III手引き 各論8章・1節・2R3-15C|重点誤答型

03令和元年房総半島台風の樹木被害

問題

2019年は激甚災害に指定される気象災害が相次いだ。このうち9月に発生し伊豆諸島や関東地方南部を中心に猛烈な風と雨をもたらした台風第15号(令和元年房総半島台風)に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 房総半島に上陸した際の中心気圧は約1450hPaで、超大型の台風だった。
  2. 関東南部の各地で風速10m/sを越す猛烈な風が観測された。とくに千葉では観測史上1位の最大風速12.6m/sが記録された。
  3. 台風進路の東側で電柱の損壊が多数発生したが、原因の大半が倒木や建物倒壊によるものだった。
  4. 房総半島で多く発生した倒木の大半は植栽された針葉樹であり、広葉樹では枝折れがあったものの幹折れや根返りは見られなかった。
  5. 多くのスギが根返りを起こしたが、根返りの原因は千葉県で広く植栽されているクローン品種に台風以前から蔓延していた腐朽病だった。
R3-15手引き 各論8章・1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
設問上の正解3

令和元年房総半島台風では進路東側を中心に強風被害が拡大し、倒木や建物倒壊などに伴う電柱損壊が多数生じた。

注意すべき選択肢

1

中心気圧1,450hPaは通常の大気圧を大きく上回り、強い台風の値として方向も桁も不自然。強い台風ほど中心気圧は周囲より低く、設問の台風は約960hPa級として尺度を持つ。

2

10~12.6m/sは『猛烈な風』や観測史上級を示す数値として小さすぎる。気象用語と風速の尺度を照合し、桁違いを除外する。

5

根返りを特定クローンへ蔓延した単一の腐朽病だけで説明するのは過剰な断定。根系、土壌飽和、地形、腐朽、樹冠、風向を複合要因として調べる。

基本解説

災害記述は、記憶だけに頼らず『数値の桁・用語・過剰な断定』を検査する

特定の台風について細かな統計を忘れていても、気圧と風速の尺度、台風の進行方向に対する風の強まり方、樹木被害が複数要因で起こることを知れば、明らかに不自然な選択肢を除外できます。災害問題では、もっともらしい固有名詞の中に、桁違いの数値や『大半』『見られなかった』『原因は一つ』という過剰な断定が混ぜられます。

不自然さを見抜く尺度
論点基礎知識選択肢への適用
中心気圧強い台風ほど中心気圧は周囲より低く、通常は1,000hPa前後より下1,450hPaは桁・方向とも不自然
風速10~12.6m/sは強風だが、猛烈な風や観測史上級を表す数値として小さすぎる選択肢2を除外
樹種と損傷針葉樹・広葉樹とも枝折れ、幹折れ、根返りが起こり得る広葉樹では幹折れ・根返りがないという断定を除外
根返り原因根系、土壌飽和、地形、腐朽、樹冠、風向などが組み合わさる特定クローンの病害だけへ還元する肢を除外

北半球の台風では、一般に進行方向の右側で台風の回転風と移動速度が同じ向きに加わり、風が強くなりやすいとされます。令和元年房総半島台風では進路東側を中心に強風被害が拡大し、倒木や建物倒壊に伴う電柱損壊が多数生じたとする選択肢3が正しい記述です。

樹木医としての原因整理
  • 気象条件:最大風速、瞬間風速、降雨、風向と継続時間
  • 立地条件:地形、土壌深、排水、地下構造物、周囲の風の通り道
  • 樹体条件:根系、腐朽、樹冠形状、偏心、過去の剪定
  • 被害形式:枝折れ、幹折れ、根返りを分け、単一原因にしない

樹木医の手引き 第4版 p.451 ES版 69-70頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
AA深度IV手引き 各論8章・1節・2R3-16A|選択肢別判定型

04風障害と風速

問題

風は樹木の成長に様々な影響をおよぼす。風に伴う樹木の障害と風速との関係に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 風は風速が速いほど樹体を押す力(風荷重)が強いが、理論上は風速の三乗に比例する。
  2. 風が樹体を押す力(風荷重)は風を受ける面積に比例するが、風速が速くなると受風面積が小さくなる。
  3. 葉面上の風速が速くなると、気孔を十分に開いていてもガス交換(二酸化炭素の流入と酸素の流出)が滞り、光合成速度が低下する。
  4. 寒風害は土壌水分の供給不足によるものであり、風速と被害の程度には関係がない。
  5. 潮風害は風によって運ばれてくる塩分による生理障害であり、風速と被害の程度には関係がない。
R3-16手引き 各論8章・1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
設問上の正解2

風荷重は受風面積に比例するが、強風時には葉・枝がなびき、樹冠の実効受風面積や抗力係数が低下する。

  1. ×
    選択肢1

    基本的な風圧力は風速の2乗に比例し、3乗ではない。

    F=1/2・ρ・C・A・V²を基礎式として、投影面積Aと風速Vを確認する。
  2. ○
    選択肢2

    風荷重は投影面積に比例する一方、強風下では枝葉が流線化・再配置され、実効投影面積や抗力係数が小さくなることがある。

  3. ×
    選択肢3

    適度な風は葉面境界層を薄くしてCO₂や水蒸気の拡散を促す。過度な風で気孔閉鎖や損傷が起こる場合とは分ける必要がある。

    境界層抵抗の低下と、強風ストレスによる気孔閉鎖・乾燥を段階的に捉える。
  4. ×
    選択肢4

    寒風害は低温だけでなく、風による蒸散促進や組織冷却の影響を受けるため、風速と無関係ではない。

    低温、乾燥、風速、土壌凍結による吸水阻害を組み合わせて判断する。
  5. ×
    選択肢5

    潮風害では海塩粒子の輸送・付着量や葉面乾燥が風速・風向に左右される。

    海からの距離、卓越風向、風速、降雨による洗脱を確認する。
基本解説

風害は、風速だけでなく『荷重・樹冠の変形・水分生理』を同時に考える

風が樹冠へ及ぼす力は、空気密度、抗力係数、風を受ける投影面積、風速によって決まります。他の条件が同じなら風荷重は風速の二乗に比例するため、風速が2倍なら力は4倍、3倍なら9倍です。風のエネルギーや出力に三乗則が現れることはありますが、設問の『樹体を押す力』を風速の三乗とするのは誤りです。さらに、樹木は固定された板ではなく、強風時に葉が重なり、枝がなびき、樹冠全体が流線形へ変形します。これにより実際の受風面積や抗力係数が小さくなります。

風荷重の基本式
F = 1/2 × ρ × C × A × V²
ρ:空気密度、C:抗力係数、A:受風投影面積、V:風速
幹元にかかる曲げモーメントは、おおまかに風荷重F × 力の作用点までの高さで増える
風が強くなったときに同時に起こること
側面風の影響判定上の注意
力学V²により荷重が急増する三乗としない
樹冠形状枝葉がなびき、AとCが低下する変形が荷重増加を一部緩和する
葉面境界層適度な風で境界層が薄くなり、ガスや水蒸気の拡散が促進される強風では気孔閉鎖や物理損傷が別に起こり得る
寒風・寒乾低温下でも葉からの水損失を増やす凍結土壌で吸水できないと水収支が崩れる
潮風塩分の輸送・付着、乾燥、葉の損傷が増える被害は風速と無関係ではない
危険度評価への接続
  • 荷重側:風速、受風面積、抗力係数、樹高、偏った樹冠を見る。
  • 抵抗側:幹径、材の健全性、腐朽・空洞、根系、土壌の支持力を見る。
  • 同じ風速でも、樹冠形状と残存強度が違えば破損危険度は変わる。

樹木医の手引き 第4版 p.451 ES版 69-70頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
C深度III手引き 各論8章・1節・2R4-19B|全体整理型

05厳寒期以外に発生しやすい低温害

問題

低温による樹木の被害は主に気温の低い時期に発生するが、最も気温の低い厳寒期に発生するとは限らない。次のうち、厳寒期以外に発生しやすい低温害として、正しいのはどれか。

  1. 凍害
  2. 霜害
  3. 凍上害
  4. 寒風害
  5. 寒乾害
R4-19手引き 各論8章・1節・2|樹木の気象害の種類と被害形態
設問上の正解2

霜害は晩春や早秋など、組織の耐寒性が十分でない時期の放射冷却で起こりやすく、最厳寒期に限られない。

基本解説

低温害は気温の最低値だけでなく、樹木の耐寒性が下がる時期との組合せで決まる

樹木は秋から冬にかけて細胞内成分や水分状態を変え、凍結に耐える能力を高めます。これが低温順化です。厳寒期には気温は低くても十分に順化している場合があります。一方、春に休眠が解除され、芽・花・若葉が活動を始めると耐凍性が急に下がります。そのため、最も寒い時期を過ぎた後の遅霜でも、新しい組織は大きな被害を受けます。

晩霜害が起こる流れ
気温上昇で休眠が解除され、芽が動き始める組織が脱順化し、耐凍性が低下する晴天・弱風の夜に放射冷却が進む地表付近や芽・葉の温度が0℃以下になる若い組織が凍結・壊死し、黒変や萎れが現れる
低温に関わる障害の区別
障害中心となる条件
霜害晩春・早秋などの放射冷却で、耐寒性の低い芽・花・若葉が凍る
凍上害土壌の凍結と融解で苗や根が持ち上げられる
寒風害・寒乾害低温と風で葉から水を失う一方、凍結土壌などから吸水できない
凍害低温による組織凍結の総称で、順化状態により発生温度が変わる

樹木医の手引き 第4版 p.451 ES版 69-70頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第1節・3|気象害軽減対策
C深度II手引き 各論8章・1節・3R3-14B|全体整理型

06防火性・耐火性のある樹種

問題

樹木には防災機能として火災における防火性(燃えにくいが生存ができない)と耐火性(火炎により損傷するが萌芽再生する)が期待されている。次のうち、防火性の高い樹種と耐火性の高い樹種の組み合わせとして、正しいのはどれか。

  1. 防火性:クスノキ 耐火性:カナメモチ
  2. 防火性:クロガネモチ 耐火性:ビワ
  3. 防火性:タイサンボク 耐火性:コナラ
  4. 防火性:ユズリハ 耐火性:タラヨウ
  5. 防火性:キンモクセイ 耐火性:プラタナス
R3-14手引き 各論8章・1節・3|気象害軽減対策
設問上の正解2

クロガネモチは防火性が高い樹種、ビワは火炎で損傷しても萌芽再生しやすい耐火性の高い樹種として整理する。

基本解説

防火性と耐火性は、燃えにくさと再生力で分ける

整理表
性質意味見る形質
防火性着火・燃焼しにくく、延焼を抑える葉の含水率、厚さ、揮発性成分、枝葉密度など
耐火性火炎で損傷しても個体が生残・萌芽再生しやすい樹皮厚、芽の保護、萌芽力、地下部の生残など
試験で押さえる事項
  • 防火性が高い樹種が、必ずしも被災後の再生力も高いとは限らない。
  • 防火植栽は単木の樹種選択だけでなく、樹冠配置、下枝、落葉・枯枝管理、水分状態も重要。

樹木医の手引き 第4版 p.457 ES版 70頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第1節・3|気象害軽減対策
C深度II手引き 各論8章・1節・3R5-16B|全体整理型

07雪圧害の軽減資材

問題

多雪地帯では雪圧によって樹木が障害を受けることがある。次のうち、雪圧害の軽減に用いられる資材として、正しいのはどれか。

  1. 杭
  2. 寒冷紗
  3. チッパー
  4. 蒸散抑制剤
  5. バーク堆肥
R5-16手引き 各論8章・1節・3|気象害軽減対策
設問上の正解1

杭や支柱で樹木を固定し、積雪の沈降・移動による曲げ、倒伏、枝裂けを軽減する。

基本解説

雪圧害は、杭で枝幹を支持・固定して軽減する

試験で押さえる事項
  • 雪圧は積雪の重みだけでなく、斜面での雪の移動・沈降によって幹枝へ持続的な力を加える。
  • 寒冷紗は主に防寒・遮光・風よけ、蒸散抑制剤は水分損失低減、バーク堆肥は土壌改良・被覆に用いる。雪圧への直接支持材ではない。
  • 結束部が幹を締め付けたり擦ったりしないよう、保護材と点検・解除時期を設ける。

樹木医の手引き 第4版 p.457 ES版 70頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第2節・1|大気汚染の基礎知識
B深度I手引き 各論8章・2節・1R5-15B|全体整理型

08大気汚染物質の化学式

問題

化学式で表した次の物質のうち、植物に障害をもたらしうる大気汚染物質として、正しいのはどれか。

  1. KCl
  2. N₂
  3. CO₂
  4. SO₂
  5. NH₄
R5-15手引き 各論8章・2節・1|大気汚染の基礎知識
設問上の正解4

SO₂は二酸化硫黄で、気孔から葉内へ入り、急性・慢性の植物障害を生じ得る代表的な大気汚染物質である。

基本解説

化学式を物質名へ戻せばSO₂が残る

SO₂が気孔から侵入葉内水分へ溶解し化学反応細胞膜・光合成系などを障害クロロシス・ネクロシス等が発現
整理表
式物質本問での整理
KCl塩化カリウム大気汚染物質としての選択ではない
N₂窒素大気の主要成分
CO₂二酸化炭素高濃度・気候影響は別として、本問の典型的植物障害物質ではない
SO₂二酸化硫黄植物障害を起こす大気汚染物質
NH₄アンモニウムを意図した表記なら通常はNH₄⁺式・電荷にも注意

樹木医の手引き 第4版 p.467 ES版 71頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第2節・3|都市環境と樹木の生育
B深度III手引き 各論8章・2節・3R4-18A|選択肢別判定型

09大気汚染障害の診断

問題

大気汚染による樹木の障害の診断に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 大気汚染物質による障害には、高濃度暴露による慢性障害と、低濃度暴露による急性障害とがある。
  2. 大気汚染の被害症状は生理活動が活発な葉に現れやすく、老化した葉や栄養不足の葉の表面には症状が現れにくい。
  3. 光化学オキシダントによる可視被害症状は葉の維管束組織に現れることが多く、葉脈に沿ってネクロシスが生じるのが典型的な被害症状である。
  4. 汚染物質に対する感受性は物質の種類や樹種によって異なるが、常緑樹のほうが落葉樹よりほとんどの大気汚染物質に対する感受性が高い。
  5. 大気汚染害の診断には、対象木だけでなく周辺の植物を観察し、大気汚染に対して感受性の低い種での被害の有無を確認することが有用である。
R4-18手引き 各論8章・2節・3|都市環境と樹木の生育
設問上の正解2

大気汚染物質による可視症状は代謝の活発な葉に現れやすく、老化葉や栄養不足葉では反応が不明瞭な場合がある。

  1. ×
    選択肢1

    一般に高濃度・短時間の曝露で急性障害、低濃度・長時間の曝露で慢性障害が生じる。記述は逆である。

    濃度と曝露時間を組み合わせ、急性・慢性を区別する。
  2. ○
    選択肢2

    大気汚染物質による可視障害は、生理活性が高く気孔から物質を取り込みやすい成熟葉で現れやすく、老化葉や栄養不良葉では典型症状が不明瞭な場合がある。

  3. ×
    選択肢3

    光化学オキシダント等の典型的な葉面症状は、葉脈に沿う壊死に限らず、葉脈間の斑点・黄化・壊死として現れる。

    汚染物質、樹種、葉齢、葉面の表裏、葉脈間か葉縁かを観察する。
  4. ×
    選択肢4

    常緑樹が多くの大気汚染物質へ一律に高感受性とはいえず、感受性は樹種、物質、葉齢、曝露条件によって異なる。

    常緑・落葉の区分だけでなく、物質別の感受性資料を使う。
  5. ×
    選択肢5

    大気汚染の影響を早期に把握するには、低感受性種よりも症状が現れやすい高感受性の指標植物が有用である。

    高感受性種の症状と、発生範囲・気象・汚染測定値を併せて診断する。
基本解説

大気汚染害は、症状だけでなく『濃度×時間・葉齢・空間分布』を組み合わせて診断する

大気汚染物質による障害は、同じ物質でも濃度と暴露時間で現れ方が変わります。高濃度を短時間受ける急性障害では斑点や壊死などが急に現れ、低濃度を長期間受ける慢性障害では黄化、生長低下、早期落葉などが徐々に現れます。症状は病虫害、乾燥、養分障害とも似るため、葉の模様だけで断定しません。

診断で比較する項目
観察項目意味
葉齢・生理活性気孔が開き代謝の活発な葉は汚染物質を取り込みやすく、可視症状が現れやすい
葉脈との位置光化学オキシダントでは葉脈間の斑点・ネクロシスなどがみられ、葉脈沿いに固定されない
樹種差物質、樹種、葉齢、気孔開度によって感受性が変わり、常緑樹が一律に高感受性ではない
周辺植物高感受性の指標植物にも同時期・同方向の症状があるかを見る
空間・気象発生源、風向、標高、症状の広がりと発生時期を重ねる
除外診断の順序
  1. 対象木の葉齢別・樹冠位置別に症状を記録する。
  2. 周囲の同種・異種、とくに高感受性種を比較する。
  3. 風向・気象・発生源情報と時間的に一致するか確認する。
  4. 病原体、害虫、養分欠乏、塩害、乾燥害などを除外する。
  5. 必要に応じ葉や大気の成分分析を行う。

樹木医の手引き 第4版 p.480 ES版 71頁

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各論 第8章 樹木と環境ストレス第4節・1|花粉の多面的な機能
C深度II手引き 各論8章・4節・1R3-04B|全体整理型

10スギ・ヒノキ花粉量の年変動

問題

次の図は、1988~2021年に山梨県甲府市で観測されたスギとヒノキの花粉量(花粉の一年間の総飛散量=一年間に1cm²に落ちてきた花粉の総個数)である。この図から読み取れる記述として、正しいのはどれか。

R3-Q04の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. 1995年、2005年、2015年と約10年周期でスギとヒノキの花粉量が多くなる。
  2. 2006年以降は、ヒノキはスギより花粉量が多い傾向が見られる。
  3. スギの花粉量が多い年は、ヒノキの花粉量は少ない。
  4. スギとヒノキはともに、花粉量が1,000個/cm²に満たず比較的少ないと、その翌年はすべて倍以上に増加する。
  5. スギは、花粉量が3,000個/cm²を超えると、その翌年の花粉量がすべて半分以下に減少する。
R3-04手引き 各論8章・4節・1|花粉の多面的な機能
設問上の正解5

図ではスギ花粉量が3,000個/cm²を超えた年の翌年は、いずれも前年の半分以下へ減少している。

基本解説

グラフは、記憶ではなく全該当年を一つずつ検算する

各選択肢の条件を数値化する条件に該当する年を図上ですべて拾う翌年の値を一件ずつ比較する例外が一つでもあればその肢を除外する
試験で押さえる事項
  • 『約10年周期』『傾向がある』は印象で選ばず、ピーク間隔と全期間を確認する。
  • スギとヒノキの花粉量が反対に動くという関係は図から支持されない。
  • 少量年の翌年に必ず倍増する、という肢は『すべて』の例外を探す。
  • 前年夏の気象と雄花形成、資源配分などにより年変動するが、本問は図から読める範囲だけで答える。

樹木医の手引き 第4版 p.504 ES版 72頁

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