TREE DOCTOR EXAM · SYSTEMATIC REFERENCE V6.0.1

各論 第11章 樹木の保全対策

収録8問。ワイド画面では左に問題、右に正答・解説を表示し、狭い画面では縦方向に読み進められます。

各論 第11章 樹木の保全対策

各問題のランク・深度は詳細分析の正本です。学習状態は明示的に選択してください。

各論 第11章 樹木の保全対策第2節|根の外科手術と発根促進
C深度III手引き 各論11章・2節R5-30A|選択肢別判定型

01樹木の発根促進

問題

樹木の発根促進に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 根系成長を促進させるオーキシン濃度は、地上部の成長を促進させる濃度の10倍から100倍の濃度である。
  2. 根の環状剥皮法により、木部を降下してきた光合成産物やオーキシン、サイトカイニンが剥皮部より根元側で蓄積して側根が発生する。
  3. 根回し後の発根促進には可給態養分が必要なので、堆肥ではなく化成肥料を施用する。
  4. 断根法は、根鉢範囲を目安にバックホウのバケットを使って根を切断し、根元から細根を発生させる方法である。
  5. 断根法において蒸散抑制のために行われる強剪定によって、発根が抑制されることがある。
R5-30手引き 各論11章・2節|根の外科手術と発根促進
設問上の正解5

断根後の蒸散抑制を狙った強剪定でも、葉による光合成と芽由来のオーキシン供給を減らし、根と地上部の回復をかえって抑えることがある。

  1. ×
    選択肢1

    根は地上部より低いオーキシン濃度で伸長が促進され、高濃度では抑制され得る。

    根はオーキシンへの感受性が高く、地上部より10~100倍高濃度が必要という説明は逆である。
  2. ×
    選択肢2

    光合成産物やオーキシンは主に師部を基部方向へ移動し、環状剝皮では剝皮部の上側に蓄積する。木部を降下して根元側へ蓄積するわけではない。

    師部の下降流と、根で主に合成され木部を上昇するサイトカイニンを区別する。
  3. ×
    選択肢3

    根回し直後は吸収根が少なく、濃い化成肥料は土壌溶液の浸透圧を高めて吸水・発根を妨げるおそれがある。

    施肥の要否を診断し、必要なら低濃度・緩効性で塩類濃度を上げ過ぎない。
  4. ×
    選択肢4

    バックホウのバケットで根を引き裂くと切口が損傷し、腐朽・発根不良の原因になる。根元から細根を生じさせるという説明も不正確である。

    根を露出させ、鋭利な刃物で滑らかに切り戻し、切口近くの新根発生を促す。
  5. ○
    選択肢5

    強剪定は蒸散を減らす一方、葉の光合成産物と芽・葉由来のオーキシン供給も減らすため、切り過ぎると発根を抑えることがある。

基本解説

断根後の回復は、蒸散を減らすだけでなく発根に必要な葉・芽・糖を残す釣合い

根を切ると吸水できる細根量が減るため、移植や根回しでは地上部の水損失との釣合いを考えます。しかし枝葉を強く減らせば常に安全とは限りません。葉は光合成産物をつくり、若い芽や葉で生じるオーキシンは師部を通って基部側へ移動し、適切な濃度で不定根・側根形成へ関わります。強剪定で蒸散は減っても、発根に必要な炭素源と信号まで大きく減らし、根の再生を遅らせることがあります。

発根処置の生理を整理する
論点正しい考え方
オーキシン濃度根は地上部より低い濃度で伸長が促進され、高濃度では伸長が抑制され得る
根の環状剥皮師部を下がる糖・オーキシンが剥皮部の根元側ではなく上側へ蓄積する
サイトカイニン主に根で合成され木部を上昇し、地上部と根の成長配分へ関わる
施肥吸収根が少ない時期は塩類濃度を上げ過ぎず、資材・量・時期を慎重に選ぶ
断根作業根を引き裂かず、露出した根を鋭利な刃物で滑らかに切り戻す
過度な強剪定の逆効果
断根で吸水根が減る蒸散抑制を目的に枝葉を過度に切る光合成量と貯蔵養分の補充が減る芽・葉由来のオーキシン供給も減る新根と新梢の再生が遅れる可能性がある

樹木医の手引き 第4版 p.607 ES版 84-85頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存
各論 第11章 樹木の保全対策第6節|剪定
C深度III手引き 各論11章・6節R1-12B|全体整理型

02開花と剪定時期

問題

次のうち、樹種と花を観賞するための剪定時期に関する組み合わせとして、正しいのはどれか。

  1. ウメ:秋期剪定(9月~11月)
  2. サツキ:春期剪定(3月~4月)
  3. サザンカ:春期剪定(4月~5月)
  4. ハナカイドウ:冬期剪定(12月~2月)
  5. ヤブツバキ:秋期剪定(9月~11月)
R1-12手引き 各論11章・6節|剪定
設問上の正解3

サザンカは秋~冬に開花するため、花後の春4~5月頃に剪定すると、翌季の花芽を切り落としにくい。

基本解説

花木の剪定適期は、暦より『開花後から次の花芽分化前まで』で考える

花を観賞する樹木では、枝を切る時期によって翌季の花芽まで失うことがあります。多くの花木は開花後に新梢を伸ばし、その年のうちに翌年の花芽をつくります。したがって、花が終わってから花芽分化が進む前までに必要な剪定を行うのが基本です。ただし樹種によって開花期と花芽形成の時期が違うため、『春剪定』『冬剪定』を全花木へ一律に当てはめません。

本問の花木と剪定時期
樹種開花との関係観賞目的の基本
サザンカ秋~冬に開花花後の春4~5月に剪定し、次の花芽形成前に整える
サツキ春に開花開花直前の3~4月でなく、花後の初夏が基本
ヤブツバキ冬~春に開花花後の春に行う
ウメ・ハナカイドウ前年にできた花芽が翌春咲く花芽を見ながら花後などに整え、秋冬の一律強剪定を避ける
目的で剪定時期を分ける
  • 花数を確保する剪定と、枯枝・折損枝を除く安全管理は同じ時期に限定しない。
  • 樹勢回復、病害対策、大枝切除では、生理・感染・荷重など別の条件を優先する。
  • 設問では『花を観賞するため』という目的語を読み落とさない。

樹木医の手引き 第4版 p.653 ES版 87-88頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存
各論 第11章 樹木の保全対策第7節|移植
AA深度II手引き 各論11章・7節H30-11A|選択肢別判定型

03移植時の根鉢

問題

移植をする際の根鉢に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 土付法は、掘り上げた根鉢に縄やコモで根巻きによる養生をしないで、土を付けたままの根鉢とする方法である。
  2. ふるい(振い)は、活着しやすい落葉樹を移植する際に、根鉢を少し大きめにとり、土をつけずに掘り取る方法である。
  3. 追い掘りは、根を切ることが生育の悪化を招く樹種について、養生の難しい太根を根元径の4~5倍の位置で切断し、養・水分吸収に優れた細根を丁寧に探り掘りする方法である。
  4. 凍土法は、冬に根鉢を掘り上げる前に根鉢と掘り取り穴の隙間に注水して、根鉢の周囲を凍結させる方法である。
  5. 根鉢の形状には皿鉢、並鉢、貝尻などがあるが、特に貝尻は、主要な根が浅いところに存在する樹木に用いる。
H30-11手引き 各論11章・7節|移植
設問上の正解2

ふるい(振い)は、活着しやすい落葉樹などを土を付けずに掘り取る方法で、根を傷めないよう十分な根量を確保して扱う。

  1. ×
    選択肢1

    土付法は土を付けた根鉢を保つ方法だが、根巻き養生をしないことが定義ではない。根鉢崩壊や乾燥を防ぐため必要に応じて縄・こも等で養生する。

    土を残す方法と、根鉢を保護する根巻きの要否を別に判断する。
  2. ○
    選択肢2

    ふるい(振い)は、活着しやすい落葉樹などを対象に、十分な根量を確保しながら土を付けずに掘り取る方法である。

  3. ×
    選択肢3

    追い掘りは主要根を外方へたどり、できるだけ根系・細根を確保する方法で、養生困難な太根を根元径の一律4~5倍で切る方法ではない。

    樹種と根系に応じて主要根を追い、適切な位置で滑らかに切る。
  4. ×
    選択肢4

    凍土法は寒冷条件を利用して根鉢土を凍結させ崩れにくくする方法であり、掘り上げ前に根鉢と掘取り穴の隙間へ注水することを定義とはしない。

    凍結条件、根鉢の含水、掘取り時期を計画して土塊を保つ。
  5. ×
    選択肢5

    貝尻は浅い位置に主要根がある樹木へ用いる根鉢形状という説明ではない。

    皿鉢・並鉢・貝尻は根系の深浅や土質、運搬条件に応じて選び、浅根性と貝尻を機械的に結び付けない。
基本解説

根鉢方法は、土を残す量と細根保護の考え方で区別する

整理表
方法要点
土付法土を付けた根鉢を保ち、必要に応じ根巻きして崩壊・乾燥を防ぐ。『養生しない』が定義ではない
ふるい土を落として根を露出させる。活着しやすい落葉樹などで用いる
追い掘り主要根を長く追って掘り、細根・根系をできるだけ確保する。太根を一律位置で切る説明ではない
凍土法寒冷条件で根鉢土を凍結させ、崩れにくくして移植する
貝尻深根性など根系形態に応じる。浅根性だから選ぶという説明ではない
試験で押さえる事項
  • 根鉢は幹径だけで機械的に決めず、樹種、根系、土質、運搬、移植時期、事前根回しを考慮する。

樹木医の手引き 第4版 p.660 ES版 88-89頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存
各論 第11章 樹木の保全対策第7節|移植
B深度III手引き 各論11章・7節R1-11A|選択肢別判定型

04樹木の移植時期

問題

樹木の移植時期に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 常緑広葉樹は、冬期も落葉しないことから休眠期はないので、冬期が移植に適している。
  2. 落葉広葉樹は、春に展葉し新梢が伸長する期間が移植に適している。
  3. 針葉樹は、常緑・落葉を問わず、寒さが緩む早春から春の発芽前が移植に適している。
  4. 広葉樹は、常緑・落葉を問わず、9月から10月の初秋の期間は移植に不適切である。
  5. シュロやヤシ類は、7月から8月の気温の高い期間が移植に適している。
R1-11手引き 各論11章・7節|移植
設問上の正解5

シュロ・ヤシ類は高温期に根の再生が活発になるため、7~8月頃の暖かい時期が移植適期となる。

  1. ×
    選択肢1

    常緑広葉樹にも生育の季節性・休止期があり、冬は低温で根の吸水回復が遅いまま葉から水を失う危険がある。

    葉が残ることと休眠がないことを同一視せず、地温と蒸散負荷で適期を選ぶ。
  2. ×
    選択肢2

    展葉・新梢伸長期は水需要と蒸散が大きく、根を切る移植には不利である。

    落葉広葉樹は一般に落葉後から発芽前の休眠期を基本とする。
  3. ×
    選択肢3

    常緑針葉樹では早春が適期となるが、落葉針葉樹まで『常緑・落葉を問わず』一律にできない。

    常緑・落葉、樹種、地域の地温と発芽時期を区別する。
  4. ×
    選択肢4

    初秋でも、冬までに新根が回復できる地域・樹種・管理条件なら移植可能であり、全広葉樹に不適切とはいえない。

    暦だけでなく、発根可能な地温と冬までの養生期間を見る。
  5. ○
    選択肢5

    シュロ・ヤシ類は高温期に根の再生が活発になるため、7~8月頃の暖かい時期が移植適期となる。

基本解説

移植適期は、根が再生できる地温と、葉から水を失う蒸散負荷の釣合いで決める

移植では多くの根が切られ、吸水能力が一時的に低下します。成功しやすい時期は、地上部の蒸散が過大でなく、根の再生に必要な地温と養生期間が確保できる時期です。落葉樹は落葉後から発芽前の休眠期が基本ですが、凍結地や樹種により調整します。常緑樹も季節性があり、葉を付けているから休眠や適期がないわけではありません。

樹群ごとの考え方
樹群適期を決める主な理由
落葉広葉樹落葉後~発芽前は葉からの蒸散が小さい。展葉・新梢伸長期は水需要が大きい
常緑広葉樹冬の低温・乾燥で吸水回復が遅れることがあり、暖かさと蒸散負荷を両方見る
針葉樹常緑・落葉、樹種、地域で根の活動時期が異なり、一律の早春適期とはしない
シュロ・ヤシ類高温期に根の再生が活発で、7~8月頃が適期となる
暦だけにしない
  • 芽の動き、葉量、地温、土壌水分、移植後の灌水体制を確認する。
  • 初秋でも、冬までに新根が回復できる地域・樹種なら必ず不適切とはいえない。
  • 酷暑期が適するシュロ・ヤシ類でも、乾燥防止と灌水管理は必要である。

樹木医の手引き 第4版 p.660 ES版 88-89頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存
各論 第11章 樹木の保全対策第7節|移植
B深度II手引き 各論11章・7節R3-11A|選択肢別判定型

05移植の適期

問題

移植の適期に関する記述として正しいものはどれか。

  1. 常緑広葉樹の移植は、冬季でも落葉・休眠しないので冬季が適している。
  2. 常緑針葉樹の移植は、寒さが残る早春が適している。
  3. 落葉針葉樹の移植は、葉が成葉となり旺盛に活動している夏季が適している。
  4. 落葉広葉樹の移植は、枝葉の展開期にあたる晩春から初夏が適している。
  5. シュロ、ヤシ類など特殊樹の移植は、着葉した状態なので冬季が適している。
R3-11手引き 各論11章・7節|移植
設問上の正解2

常緑針葉樹は寒さが緩む早春から春の発芽前が適期。蒸散が比較的小さく、根の再生を新梢成長へ間に合わせやすい。

  1. ×
    選択肢1

    常緑広葉樹も冬には生理活性と根の吸水が低下し得る一方、葉から蒸散するため、冬季が一律に適するとはいえない。

    低温・乾燥を避け、根が回復できる地温と蒸散負荷を確認する。
  2. ○
    選択肢2

    常緑針葉樹は寒さが緩む早春から発芽前に移植すると、蒸散負荷が比較的小さく、新梢成長前に根の再生を進めやすい。

  3. ×
    選択肢3

    落葉針葉樹を着葉して活動が旺盛な夏に移植すると、蒸散需要が大きい時期に吸水根を失い、水収支が崩れやすい。

    落葉後から発芽前を基本に樹種・地域で調整する。
  4. ×
    選択肢4

    落葉広葉樹の晩春~初夏は展葉・新梢伸長で水需要が大きく、一般的な移植適期ではない。

    地上部が休眠し蒸散の少ない落葉後~発芽前を基本とする。
  5. ×
    選択肢5

    シュロ・ヤシ類は暖地性で、高温期に根の再生が活発になるため、冬季より夏の暖かい時期が適する。

    着葉の有無ではなく、根が活動できる温度を基準にする。
基本解説

常緑針葉樹は、発芽前の早春に移植する

発芽前で蒸散負荷が小さい地温上昇で根が活動を再開新根形成展葉後の水需要へ対応
試験で押さえる事項
  • 常緑広葉樹は冬も葉があり、低温下で吸水が低いまま蒸散する危険がある。冬が一律適期ではない。
  • 落葉針葉樹・落葉広葉樹を葉が活発な夏~初夏に移植すると、水収支が崩れやすい。
  • シュロ・ヤシ類は暖地性で、冬より高温期が根の再生に適する。

樹木医の手引き 第4版 p.660 ES版 88-89頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存
各論 第11章 樹木の保全対策第7節|移植
AA深度III手引き 各論11章・7節R3-30A|選択肢別判定型

06移植時の根の取扱い

問題

樹木移植時の根の取扱に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 樹木根系の成長を促進するオーキシン濃度は、樹木の地上部の成長を促進する濃度よりも高い。
  2. 根回し作業の一つである「断根法」は、根回し用根鉢を移植時の根鉢の110%程度の直径として、その外側に伸びた根を全て切断する方法である。
  3. 根回しの実施は、樹木が休眠している冬季がよいとされる。
  4. 根回し期間中の施肥では、浸透圧を低く保つように薄めた液肥を用いるとよい。
  5. 移植直後には根量が減少しているので、灌水は少量ずつ頻繁に行う。
R3-30手引き 各論11章・7節|移植
設問上の正解4

根回し後に施肥する場合は、薄い液肥などを用いて土壌溶液の浸透圧を低く保ち、減少した細根の吸水を妨げないようにする。

  1. ×
    選択肢1

    根は地上部より低いオーキシン濃度で伸長が促進され、高濃度では抑制され得る。

    器官ごとにオーキシンへの感受性が異なり、根は低濃度に反応する。
  2. ×
    選択肢2

    断根法の根鉢寸法・切断範囲を移植時根鉢の110%へ一律に固定する方法ではない。

    樹幹径、樹種、根系、土質、移植条件から予定根鉢と断根位置を決める。
  3. ×
    選択肢3

    根回しは休眠中なら常に適するのではなく、処理後に新根が発生し、移植まで十分に養生できる時期から逆算する。

    根の活動時期、樹種、地域、移植予定日を組み合わせて計画する。
  4. ○
    選択肢4

    根回し後は吸収根が減っているため、施肥する場合は薄い液肥等で土壌溶液の浸透圧を低く保ち、吸水を妨げないようにする。

  5. ×
    選択肢5

    少量頻回では表面だけがぬれ、根鉢内部と周囲土が密着しないことがある。移植直後は十分に灌水し、その後は過湿を避けて水分を管理する。

    一回量、浸透深、土壌水分を確認し、機械的な少量頻回を避ける。
基本解説

根回し後は、少ない吸収根を高い塩類濃度でさらに吸水しにくくしない

根回しは、将来掘り取る根鉢の周辺であらかじめ太根を処理し、根鉢内に新しい細根を発生させる準備です。処理直後は吸収根が減り、水と養分を取り込む能力が弱くなります。この時に濃い肥料を与えると土壌溶液の塩類濃度と浸透圧が上がり、根の外側の水ポテンシャルが低下して、根が水を吸いにくくなります。施肥する場合は薄い液肥などで浸透圧を低く保ちます。

濃肥が吸水を妨げる流れ
根回しで吸収根が減る濃い肥料で土壌溶液の塩類濃度が上がる土壌水の水ポテンシャルが低くなる根内へ水が移動しにくくなり、場合によっては根から水が失われる新根の伸長と樹体の回復が遅れる
根回しの他の原則
  • 根は地上部より低いオーキシン濃度で伸長が促進され、高濃度では抑制される。
  • 根鉢径や切断範囲は樹幹径・樹種・根系・移植条件から決め、110%へ一律固定しない。
  • 休眠期だけでなく、新根が発生し移植までに養生できる時期から逆算する。
  • 移植直後は少量頻回で表面だけをぬらさず、根鉢と周囲土を密着させる十分な灌水を行い、その後過湿を避ける。

樹木医の手引き 第4版 p.660 ES版 88-89頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存
各論 第11章 樹木の保全対策第7節|移植
AA深度III手引き 各論11章・7節R4-12A|選択肢別判定型

07根回しと移植

問題

次の根回しや移植に関する記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 根回しの時期は、移植適期よりも期間が短く限定される。
  2. 根回しにおける環状剥皮とは、対象とする根の一部について形成層を含めて樹皮を取り除く方法のことである。
  3. 晴天で微風の天候は、植付け後、直ちに蒸散が活発に行われるので、移植に適している。
  4. 晴天が続き空気が乾燥している環境では、樹体内の水分は移動しないので、移植に適している。
  5. 水極めは、移植により切断された根の吸水を促す目的で行う。
R4-12手引き 各論11章・7節|移植
設問上の正解2

根回し時の環状剥皮は、残す太根の一部で形成層を含む樹皮を帯状に取り除き、剥皮部付近での発根を促す方法である。

  1. ×
    選択肢1

    根回しは新根を発生させて養生する事前処置で、移植適期より広い期間に行える場合がある。

    根の活動時期と、移植までに必要な養生期間から実施日を逆算する。
  2. ○
    選択肢2

    根の環状剝皮は、対象とする太根の一部で形成層を含む樹皮を帯状に取り除き、剝皮部付近の発根を促す方法である。

  3. ×
    選択肢3

    晴天と風は植付け直後の蒸散を増やし、吸水根を失った樹木の水収支を悪化させる。

    移植作業は曇天で風が弱い条件を選び、根と枝葉の乾燥を防ぐ。
  4. ×
    選択肢4

    乾燥条件でも水は根・幹・葉を通って移動し、蒸散で失われる。樹体内の水分移動が止まるわけではない。

    空気の乾燥で蒸散要求が増すため、移植には不利な条件と判断する。
  5. ×
    選択肢5

    水極めの主目的は、植穴の空隙へ水と土を行き渡らせ、根鉢と周囲土を密着させることにある。切断根の吸水を直接促す処置ではない。

    空隙除去、根鉢の安定、乾燥防止という施工目的で理解する。
基本解説

根の環状剥皮は、師部の下降流を一部止めて剥皮部付近に発根資源を集める

根回しでは、すべての根を切る方法のほか、一部の太根を残して環状剥皮を行う方法があります。環状剥皮は、対象根の周囲から形成層を含む樹皮を帯状に取り除く処置です。樹皮側の師部を下方へ移動する糖やオーキシンの流れが遮られ、剥皮部の地上部側に蓄積して新根形成を促します。木部を完全に切断しないため、処置後も一定の水移動を保ちながら発根を待てます。

環状剥皮から新根形成まで
太根の一部で形成層を含む樹皮を帯状に除く師部を下がる光合成産物とオーキシンが遮断される剥皮部の地上部側へ糖と発根信号が蓄積する剥皮部付近で新しい細根が形成される養生後、細根を含む根鉢として移植する
移植時の周辺条件
項目正しい考え方
天候晴天・乾燥・風は蒸散を増やすため、曇天で風の弱い条件が望ましい
乾燥時の樹体水は蒸散に向けて移動し続け、停止するわけではない
水極め植穴内の空隙を水と土で埋め、根鉢と周囲土を密着させる
根回し時期新根発生と移植までの養生期間から逆算し、移植適期より必ず短いとはいえない

樹木医の手引き 第4版 p.660 ES版 88-89頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存
各論 第11章 樹木の保全対策第7節|移植
AA深度II手引き 各論11章・7節R5-12A|選択肢別判定型

08根回し

問題

根回しに関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 根回しは、根を切断することなく樹冠の外周に沿って溝を円状に掘る方法である。
  2. 根回しは、植栽するときに樹木の向きを調整するために根鉢ごと回転させる方法である。
  3. 根回しの範囲は、樹冠の大きさと樹高を基準として決められる。
  4. 根回しの範囲は、樹幹の根元の直径を基準として3~5倍とされている。
  5. 根回しは、季節に関わらず、移植の1~2か月前に行う。
R5-12手引き 各論11章・7節|移植
設問上の正解4

根回しの範囲は、樹幹の根元直径を基準に、おおむね3~5倍の根鉢径として設定する。

  1. ×
    選択肢1

    根回しは予定根鉢の外周で断根や環状剝皮を行い、根鉢内に新しい細根を発生させる処置である。根を切らない溝掘りではない。

    移植時に保持できる吸収根を根鉢内へ準備する作業として理解する。
  2. ×
    選択肢2

    根回しは根鉢ごと樹木の向きを回転させる作業ではない。

    名称の字面ではなく、事前の根系処理という目的を押さえる。
  3. ×
    選択肢3

    根回し範囲は樹冠・樹高だけで決めず、根元径を基準に樹種、根系、土質、運搬条件等を考慮する。

    幹の根元径と根系の実態から予定根鉢を設定する。
  4. ○
    選択肢4

    根回し範囲は、樹幹の根元直径のおおむね3~5倍を根鉢径の基準として設定する。

  5. ×
    選択肢5

    新根形成と養生に必要な期間は樹種、季節、樹木の大きさで異なり、季節を問わず移植1~2か月前とは固定できない。

    移植予定から、発根できる季節と十分な養生期間を逆算する。
基本解説

根回し範囲は、根元径の3~5倍を基準にする

予定根鉢外周で断根・環状剥皮根鉢内に新しい吸収根を形成移植時に保持できる細根量を増やす活着率を高める
試験で押さえる事項
  • 根回しは予定根鉢の外周で根を切り、新根・細根を根鉢内へ発生させる事前処置。根を切らない溝掘りではない。
  • 樹木の向きを変える作業ではない。
  • 樹冠・樹高だけでなく、根元径、樹種、根系、土質、移植機械、運搬条件を考慮する。
  • 実施時期と養生期間は樹種・季節・規模で変わり、季節を問わず1~2か月前と固定しない。

樹木医の手引き 第4版 p.660 ES版 88-89頁

学習状態
このブラウザに保存
自分のメモメモなし
この端末に自動保存