各論 第5章 農薬の適正使用3|樹木の主な病害虫と農薬による防除A深度III手引き 各論5章・3R3-19A|選択肢別判定型
04病害虫防除とIPM
問題
樹木の病害虫の蔓延を防ぎ、被害を軽減するさまざまな手法が開発されてきた。病害虫の防除方法に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。
- 剪定による風通しの改善や土壌耕起などによって病害虫にとって望ましくない環境条件に改変する方法を物理的防除という。
- 防除対象の病害虫と競争関係あるいは拮抗関係にある生物種を移入し増殖を促す方法を耕種的防除という。
- 育種や形質転換技術によって種特性を改変することで被害を回避・軽減する方法を生物的防除という。
- 天然物や化学合成農薬などの化学物質によって病害虫の加害を回避・制御する方法を化学的防除という。
- 病害虫を従前の手段で除去することなく生態系の一部として保全・管理していく方法を総合的病害虫管理という。
R3-19手引き 各論5章・3|樹木の主な病害虫と農薬による防除設問上の正解4
天然物または化学合成農薬などの化学物質で病害虫を回避・制御するのが化学的防除である。
- ×
選択肢1剪定による通風改善や土壌耕起は、栽培・管理環境を病害虫に不利に変える耕種的防除である。
物理的防除は捕殺、遮断、熱、光・色の利用など物理作用を直接使う。 - ×
選択肢2競争・拮抗・捕食・寄生などの生物間相互作用を利用する方法は生物的防除である。
天敵や拮抗微生物の導入・増殖は生物的防除に分類する。 - ×
選択肢3育種や形質転換で宿主の抵抗性を高める方法は抵抗性品種の利用であり、天敵を使う生物的防除とは区別する。
病害虫側ではなく宿主側の遺伝的性質を利用する防除である。 - ○
選択肢4天然物由来か化学合成かを問わず、化学物質の作用で病害虫を回避・制御する方法は化学的防除である。
- ×
選択肢5IPMは病害虫を単に除去せず保全する考えではなく、発生を監視し複数手段を統合して被害を許容水準以下に管理する。
防除要否の判断、手段の統合、効果確認を含む管理体系である。
基本解説
防除法は、何を操作して被害を下げるかによって分類する
病害虫防除には、環境や栽培管理を変える方法、物理的に遮断・除去する方法、天敵や拮抗微生物を使う方法、農薬などの化学物質を使う方法、抵抗性品種を使う方法があります。名称を覚えるときは、使う道具ではなく『病害虫・宿主・環境のどこへ働きかけるか』を分類軸にします。剪定は刃物を使っても、通風改善を目的とするなら耕種的防除として扱います。
防除法の整理
| 防除法 | 働きかける対象 | 例 |
|---|
| 耕種的防除 | 栽培・管理環境 | 通風を改善する剪定、適正施肥、健全苗、罹病残渣の処理 |
| 物理的防除 | 害虫・病原体を物理的に遮断・除去 | 捕殺、ネット、熱、光や色の利用 |
| 生物的防除 | 生物間相互作用 | 捕食者、寄生蜂、拮抗微生物、微生物農薬 |
| 化学的防除 | 化学物質による生理作用 | 殺虫剤、殺菌剤、天然物由来または合成化学物質 |
| 抵抗性利用 | 宿主の遺伝的性質 | 抵抗性品種の選択・育種 |
IPM(総合的病害虫管理)は、病害虫を一匹・一胞子も残さず除去する考えではありません。発生を監視し、防除が必要な水準かを判断し、複数の方法を組み合わせ、人の健康、環境、生態系、費用への影響を抑えながら被害を許容水準以下へ管理する考え方です。『除去せず保全するだけ』という選択肢5では、監視・判断・統合という核心が抜けます。
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