TREE DOCTOR EXAM · SYSTEMATIC REFERENCE V6.0.1

各論 第3章 樹木の生理

収録12問。ワイド画面では左に問題、右に正答・解説を表示し、狭い画面では縦方向に読み進められます。

各論 第3章 樹木の生理

各問題のランク・深度は詳細分析の正本です。学習状態は明示的に選択してください。

各論 第3章 樹木の生理1|種子の休眠と発芽
C深度II手引き 各論3章・1R1-03A|選択肢別判定型

01結実から種子発芽までの年数

問題

樹木の結実と種子の発芽の年数に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. アカマツとクロマツは、春に開花したあと、同じ年の秋に成熟し、種子が散布される。
  2. イロハモミジとハウチワカエデの種子は、秋に播種すれば、健全なものは翌春にすべて発芽する。
  3. オヒルギとメヒルギの種子は、樹上で結実している状態で発芽し、その後海流によって散布される。
  4. コナラとミズナラの種子は、十分に乾燥して低温で貯蔵すると、2年ぐらいは発芽能力が低下しない。
  5. ブナとイヌブナは、毎年同じように結実するのではなく、隔年周期で豊凶を繰り返す。
R1-03手引き 各論3章・1|種子の休眠と発芽
設問上の正解3

オヒルギやメヒルギなどの胎生種子は、母樹上で発芽して胚軸を伸ばし、その後落下・水散布される。潮間帯へ定着するための適応である。

  1. ×
    選択肢1

    アカマツ・クロマツの球果は、春の受粉と同じ年ではなく翌年の秋に成熟して種子を散布する。

    マツ類では受粉から球果成熟までおよそ1年半を要する。
  2. ×
    選択肢2

    カエデ類の種子には休眠があり、健全種子でも秋播き後の翌春に全て発芽するとは限らない。

    低温湿層処理等で休眠が解除されても、発芽時期には個体差がある。
  3. ○
    選択肢3

    オヒルギ・メヒルギは母樹上で種子が発芽し胚軸を伸ばす胎生を示し、落下後は潮流・海流で散布される。

  4. ×
    選択肢4

    コナラ・ミズナラのどんぐりは乾燥に弱い難貯蔵性種子で、十分に乾燥させると発芽力を失いやすい。

    乾燥を避け、樹種に適した低温・湿潤条件で短期間保存する。
  5. ×
    選択肢5

    ブナ類には豊作年と凶作年があるが、必ず隔年という一定周期で繰り返すわけではない。

    結実の豊凶は気象や資源蓄積等に左右され、周期は変動する。
基本解説

成熟年・休眠・乾燥耐性を樹種ごとに分ける

試験で押さえる事項
  • アカマツ・クロマツの球果は受粉した翌年に成熟する。『同じ年の秋』ではない。
  • カエデ類の種子には休眠があり、秋播きで健全種子がすべて翌春に発芽するとは限らない。
  • コナラ・ミズナラのどんぐりは乾燥に弱い難貯蔵性種子。十分乾燥させると発芽力を失いやすい。
  • ブナ類には豊凶があるが、厳密な隔年周期と決めつけない。
用語を押さえる
胎生
種子が母植物についたまま発芽を始める性質。マングローブ植物で代表的。
難貯蔵性種子
乾燥や低温に弱く、通常の乾燥低温条件では長期保存しにくい種子。

樹木医の手引き 第4版 p.132 ES版 33頁

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各論 第3章 樹木の生理2|樹木の栄養成長
C深度II手引き 各論3章・2H30-16A|選択肢別判定型

02樹木の二次代謝産物

問題

樹木体内で生成される二次代謝産物に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. ウルシやヌルデなどウルシ属の樹種が引き起こすかぶれの原因物質は、揮発性のアルカロイドであり、主に葉や花など二次成長している器官から分泌される。
  2. スギやヒノキが放出するモノテルペン類は揮発性の有機化合物であり、光化学オキシダントや微小粒子状物質(PM2.5)の原因物質になりうる。
  3. イチイの種子を包んでいる肉果皮には毒性の強いアルカロイドが含まれており、果汁に触れただけで重篤な皮膚炎をおこすことがある。
  4. ウメの果実には青酸配糖体が含まれており、特に含有量の多い中果皮を摂食すると1個分でもシアン中毒の症状を発現する。
  5. キョウチクトウが引き起こす食中毒の原因物質は、葉身や花被などの二次組織に含まれるアントシアニンである。
H30-16手引き 各論3章・2|樹木の栄養成長
設問上の正解2

スギ・ヒノキなどが放出するモノテルペン類は揮発性有機化合物で、大気中の反応を通じて光化学オキシダントや二次有機エアロゾルの生成へ関与し得る。

  1. ×
    選択肢1

    ウルシ類のかぶれの主因はウルシオール類であり、揮発性アルカロイドではない。樹液に含まれ接触により皮膚炎を起こす。

    原因物質・化学群・含有部位を対応させる。
  2. ○
    選択肢2

    スギ・ヒノキが放出するモノテルペン類は生物起源の揮発性有機化合物で、大気中の反応により光化学オキシダントや二次有機粒子の生成へ関与し得る。

  3. ×
    選択肢3

    イチイの赤い仮種皮は有毒部位ではなく、強い毒性は主に種子や葉などに含まれる。

    仮種皮と、その内側の種子を区別し、種子をかみ砕いて摂取しない。
  4. ×
    選択肢4

    ウメの青酸配糖体は特に未熟種子の仁などで問題となり、中果皮が最も多く1個で必ず中毒するとの説明は不適切である。

    未熟果・種子の仁に注意し、含有量と摂取量で毒性を評価する。
  5. ×
    選択肢5

    キョウチクトウの食中毒原因は全草に含まれる強心配糖体で、花色に関わるアントシアニンではない。

    枝葉・花・樹液・燃焼煙を含め、強心配糖体による中毒として扱う。
基本解説

二次代謝産物は『物質群・部位・作用』をセットにする

整理表
植物代表成分・正しい整理
ウルシ類かぶれの主因はウルシオール類。揮発性アルカロイドではない。
スギ・ヒノキモノテルペンなどの揮発性有機化合物を放出する。
イチイ赤い仮種皮は食べられるが、種子や葉などに有毒成分を含む。
ウメ青酸配糖体は特に未熟種子の仁などで問題となる。中果皮が最も多いという説明は誤り。
キョウチクトウ強心配糖体を全草に含む。アントシアニンが中毒原因ではない。
用語を押さえる
二次代謝産物
一次代謝から派生し、防御、誘引、情報伝達などに働く多様な化合物。『不要な副産物』ではない。

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各論 第3章 樹木の生理2|樹木の栄養成長
A深度III手引き 各論3章・2R1-04B|全体整理型

03C3植物の光合成

問題

次のC3植物の光合成に関する記述について、文中のA~Dの空欄を埋める用語の組み合わせとして、正しいのはどれか。
光強度とみかけの光合成速度との関係を表した光-光合成曲線において、(A)が等しくなる、ある明るさを(B)という。一方、光が強くなると(C)は上限に達して、それ以上光が強くなっても増加しなくなる。この明るさを(D)という。

  1. (A)真の光合成速度と呼吸速度 (B)光飽和点 (C)みかけの光合成速度 (D)光補償点
  2. (A)真の光合成速度と呼吸速度 (B)光補償点 (C)みかけの光合成速度 (D)光飽和点
  3. (A)みかけの光合成速度と呼吸速度 (B)光飽和点 (C)呼吸速度 (D)光補償点
  4. (A)みかけの光合成速度と呼吸速度 (B)光飽和点 (C)真の光合成速度 (D)光補償点
  5. (A)みかけの光合成速度と真の光合成速度 (B)光補償点 (C)呼吸速度 (D)光飽和点
R1-04手引き 各論3章・2|樹木の栄養成長
設問上の正解2

真の光合成速度と呼吸速度が等しく、見かけの光合成速度が0になる明るさが光補償点。光を強くしても見かけの光合成速度が増えなくなる明るさが光飽和点である。

基本解説

光―光合成曲線は、葉の炭素収支が『赤字・収支ゼロ・頭打ち』へ変わる図

葉は光合成で二酸化炭素を吸収する一方、昼夜を通じて呼吸し、二酸化炭素を放出します。測定で外から見える二酸化炭素の正味の出入りが『見かけの光合成速度』で、真の光合成速度から呼吸速度を差し引いた値です。暗いと光合成ができず呼吸だけが続くため、見かけの値は負になります。光を強めると真の光合成が増え、呼吸による損失を埋めていきます。

炭素収支の基本式
見かけの光合成速度 = 真の光合成速度 − 呼吸速度
光補償点では、真の光合成速度 = 呼吸速度、したがって見かけの光合成速度 = 0
光を強めたときの曲線
暗所:呼吸だけなので炭素収支は赤字弱光:光合成が増えて赤字が小さくなる光補償点:吸収と放出が等しく収支ゼロさらに強い光:見かけの光合成速度が増加光飽和点:二酸化炭素供給や酵素反応など別の要因が制限し、増加が頭打ち

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各論 第3章 樹木の生理2|樹木の栄養成長
C深度I手引き 各論3章・2R4-15B|全体整理型

04樹体を構成する主要元素

問題

樹体に含まれる元素の組成は樹種や部位によって少しずつ異なるが、多量に含まれる元素はほぼ共通している。次のうち、生きている組織に多く含まれ、重量比で上位3つの元素記号の組み合わせ(順不同)として、正しいのはどれか。

  1. H、C、O
  2. H、O、K
  3. C、N、O
  4. C、P、K
  5. N、P、K
R4-15手引き 各論3章・2|樹木の栄養成長
設問上の正解1

生きた組織の重量を大きく占めるのは、水と有機物の主要構成元素である水素H、炭素C、酸素Oである。

基本解説

生体重量の上位は、水と有機物をつくるH・C・O

試験で押さえる事項
  • 水はHとO、有機物の骨格は主にC・H・Oからなる。したがって三元素が重量比上位になる。
  • N・P・Kは必須元素だが、含有量の区分では多量要素であっても、樹体全重量の上位3元素には入らない。
  • 『肥料の三要素N・P・K』と『生体の主要構成元素H・C・O』を混同しない。

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各論 第3章 樹木の生理2|樹木の栄養成長
A深度III手引き 各論3章・2R4-16A|選択肢別判定型

05樹木の光合成

問題

樹木の光合成に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 単位時間あたりに葉に吸収される二酸化炭素の量を測ることで、光合成で使われる二酸化炭素量から、呼吸で作り出される二酸化炭素量を差し引いた、見かけの光合成速度を求められる。
  2. 光合成によって使われる二酸化炭素の大部分は、大気中から気孔を通って葉の表皮細胞に入り、さらに表皮細胞内の葉緑体(クロロプラスト)の包膜を通過してストロマに供給される。
  3. 葉緑体内において、クロロフィルと総称される酵素のはたらきにより、二酸化炭素の炭素が、5つの炭素原子をもつ化合物と結合して、3つの炭素原子をもつ化合物2分子が作られる。
  4. 光合成によって生成された炭素化合物の一部は、デンプンに変換され葉緑体(クロロプラスト)内で一時的に貯蔵されるほか、ブドウ糖に変換され師管内を運ばれて樹体各所の細胞における呼吸基質となる。
  5. 緑葉の細胞に多く含まれるクロロフィルは窒素をもっているが、葉にはほかにも窒素をもつタンパク質や核酸が多く含まれており、光合成に関わる酵素がもつ窒素は葉内窒素の1%以下である。
R4-16手引き 各論3章・2|樹木の栄養成長
設問上の正解1

葉のCO₂吸収量として直接測れるのは、光合成による吸収から呼吸による放出を差し引いた見かけの光合成速度である。

  1. ○
    選択肢1

    葉のCO₂交換として測定される正味吸収量は、光合成によるCO₂吸収から呼吸によるCO₂放出を差し引いた見かけの光合成速度である。

  2. ×
    選択肢2

    CO₂は気孔から細胞間隙へ入り、主に葉肉細胞の葉緑体へ拡散する。表皮細胞が主要な炭素固定場所ではない。

    気孔→細胞間隙→葉肉細胞→葉緑体ストロマという経路で整理する。
  3. ×
    選択肢3

    クロロフィルは光を吸収する色素であり酵素ではない。5炭素化合物へCO₂を付加する主要酵素はRubiscoである。

    クロロフィル=光反応の色素、Rubisco=炭素固定酵素と区別する。
  4. ×
    選択肢4

    葉緑体内でデンプンとして一時貯蔵される点はよいが、師部を長距離転流する主要形態はブドウ糖ではなくショ糖である。

    同化産物は主にショ糖へ変換され、師管を通って転流する。
  5. ×
    選択肢5

    Rubiscoをはじめとする光合成関連タンパク質は葉内窒素の大きな配分先であり、酵素の窒素が1%以下という値は小さすぎる。

    葉内窒素の多くが光合成装置・酵素へ配分される。
基本解説

光合成を『ガス交換・葉緑体・炭素固定・転流』の四段階で整理する

葉の光合成を理解するときは、外気から二酸化炭素が入る経路、葉緑体内で光エネルギーを受け取る反応、二酸化炭素を有機物へ取り込む反応、できた炭水化物を他器官へ運ぶ過程を分けます。用語の所属を一段ずらした誤答が多いため、色素・酵素・膜構造・輸送物質がそれぞれどこで何をするかを確認します。

選択肢に出る用語の正しい位置づけ
要素役割・場所混同しやすい点
気孔と細胞間隙外気の二酸化炭素を葉肉細胞へ拡散させる経路表皮細胞の葉緑体が主な固定場所ではない
クロロフィルチラコイド膜で光を吸収する色素二酸化炭素を固定する酵素ではない
Rubiscoストロマで二酸化炭素を5炭素化合物へ付加する主要酵素C3植物では不安定な6炭素化合物を経て3炭素化合物2分子になる
デンプンとショ糖デンプンは葉緑体内に一時貯蔵、長距離の師部転流は主にショ糖ブドウ糖のまま師管を運ばれるという説明は不正確

葉の二酸化炭素吸収を測ると、光合成による吸収と呼吸による放出が同時に起きています。装置が捉える正味の吸収量は、真の光合成量から呼吸量を引いた『見かけの光合成速度』です。したがって選択肢1が正しい記述です。また、Rubiscoをはじめ光合成関連タンパク質は葉内窒素の大きな配分先であり、1%以下という極端に小さい値ではありません。

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各論 第3章 樹木の生理2|樹木の栄養成長
C深度IV手引き 各論3章・2R5-04B|全体整理型

06水ポテンシャルの日変化

問題

次は、水ポテンシャルに関する記述であるが、文中のA~Dの空欄を埋める用語の組み合わせとして、正しいのはどれか。
葉の水ポテンシャルは、夜明け前には土壌の水ポテンシャルに近い値で[A]となるが、日中は蒸散による葉の水分不足に幹からの給水が追いつかなくなるため、夜明けとともに[B]し、ふつう午前10~12時頃に[C]となる。その後、蒸散が[D]するとともに根からの水分供給によって回復し、再び夜明け前に[A]となる。

  1. (A)最大値 (B)上昇 (C)最低値 (D)低下
  2. (A)最大値 (B)低下 (C)最低値 (D)上昇
  3. (A)最大値 (B)低下 (C)最低値 (D)低下
  4. (A)最低値 (B)上昇 (C)最大値 (D)上昇
  5. (A)最低値 (B)低下 (C)最大値 (D)上昇
R5-04手引き 各論3章・2|樹木の栄養成長
設問上の正解3

夜明け前は蒸散が小さく、葉と土壌の水状態が近づくため水ポテンシャルは最大。夜明け後に低下し、午前中に最低となり、蒸散の低下と給水により回復する。

基本解説

水ポテンシャルの日変化を、土壌―根―幹―葉―大気の水移動として読む

水ポテンシャルは、水がどちらへ移動しやすいかを示すエネルギー状態です。純水を基準の0とし、土壌水や植物体内の水は通常0以下の値をとります。水は原則として水ポテンシャルの高い側、つまり負の値なら0に近い側から、低い側、つまりより負の側へ移動します。『最大』は絶対値が最大という意味ではなく、数値として最も大きく0に近い状態です。ここを押さえないと、昼と夜の高低を逆に読みます。

夜は気孔が閉じる方向へ向かい蒸散が小さくなるため、根からの吸水が葉の水分不足を埋め、夜明け前には葉と土壌の水ポテンシャルが近づきます。この時が一日の最大値です。日の出後、光と気温の上昇で蒸散が増えると、葉から水が失われる速さに幹からの供給が一時的に追いつかず、葉の水ポテンシャルは低下してより負になります。午前10~12時頃に最低値となり、その後は蒸散の低下と根からの給水で回復します。

一日の因果関係
夜明け前:蒸散が小さく、葉は再給水されて最大値日の出後:日射・気温・飽差の上昇で蒸散が増える水損失が供給を上回り、葉の水ポテンシャルが低下する午前中:最も負になり最低値午後から夜:蒸散が低下し、根からの給水で回復する
現場診断へつながる読み方
  • 夜明け前の値は、十分に再給水されれば根域土壌の水状態を比較的反映しやすい。
  • 正午頃の低い値は、土壌乾燥だけでなく蒸散要求、通水抵抗、根量、気孔調節の影響も受ける。
  • 日中の低下が大きいだけで直ちに根の障害とは断定せず、夜間にどこまで回復するかも見る。

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各論 第3章 樹木の生理2|樹木の栄養成長
A深度III手引き 各論3章・2R5-18A|選択肢別判定型

07樹木の光合成

問題

樹木の光合成に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 光合成は光エネルギーを化学エネルギーに変換し、この化学エネルギーを利用して無機物から有機物を合成する反応である。
  2. 光合成はチラコイドと呼ばれる細胞に含まれる葉緑体において行われる。
  3. 太陽光に含まれる光のうち、光合成に有効なのは主に緑色~黄色の波長域であり、紫色~青色の波長域や、橙色~赤色の波長域の光はほとんど利用されない。
  4. 光合成によって主に合成される有機物は酸素とATPである。
  5. 光補償点よりも光強度が弱いと光呼吸が行われるため、見かけの光合成速度が負の値となる。
R5-18手引き 各論3章・2|樹木の栄養成長
設問上の正解1

光合成は、光エネルギーを化学エネルギーへ変換し、そのエネルギーでCO₂などの無機物から有機物を合成する反応である。

  1. ○
    選択肢1

    光合成は光エネルギーを化学エネルギーへ変換し、そのエネルギーでCO₂などの無機物から糖などの有機物を合成する反応である。

  2. ×
    選択肢2

    チラコイドは細胞ではなく、葉緑体内部にある膜構造である。

    光反応は葉緑体のチラコイド膜、炭素固定反応は主にストロマで行われる。
  3. ×
    選択肢3

    クロロフィルが主に利用するのは青色域と赤色域の光で、緑色域は相対的に吸収されにくく反射・透過される。

    葉が緑に見える理由と、光合成に有効な波長域を結び付ける。
  4. ×
    選択肢4

    酸素は有機物ではなく、ATPは反応を駆動する一時的なエネルギー担体である。主な有機生成物は糖などの炭素化合物である。

    光反応の産物と、炭素固定による有機物を区別する。
  5. ×
    選択肢5

    光補償点より弱い光で正味CO₂収支が負になる主因は、光合成による吸収より暗呼吸等による放出が大きくなるためである。

    負の見かけ光合成を光呼吸だけで説明しない。
基本解説

光合成は、光のエネルギーを炭素化合物へ蓄える二段階の反応

光合成は、光エネルギーをATPなどの化学エネルギーへ変換し、そのエネルギーを使って二酸化炭素などの無機物から糖などの有機物を合成する反応です。葉緑体という細胞小器官の中で行われ、光を受け取る反応と二酸化炭素を固定する反応が場所と役割を分担しています。選択肢1はこの全体像を正しく述べています。

葉緑体内の二つの反応系
反応主な場所働き
光反応チラコイド膜クロロフィルが主に青色域と赤色域の光を吸収し、ATPと還元力をつくり、酸素を発生させる
炭素固定反応ストロマATPと還元力を使って二酸化炭素を有機物へ取り込む
各誤答の一段ずれを直す
  • チラコイドは細胞ではなく、葉緑体内部の膜構造である。
  • 葉が緑に見えるのは緑色光を相対的に反射・透過するためで、光合成に主に使われるのは青色域と赤色域である。
  • ATPは反応を進めるエネルギー担体で、有機物の主な最終産物ではない。酸素も有機物ではない。
  • 光補償点より暗いと見かけの光合成が負になるのは、全呼吸による二酸化炭素放出が光合成の吸収を上回るためで、光呼吸だけが理由ではない。

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各論 第3章 樹木の生理2|樹木の栄養成長
C深度II手引き 各論3章・2R5-24B|全体整理型

08窒素固定細菌と根の共生

問題

次のA~Eのうち、窒素固定を行う細菌が根の内部に共生している植物の組み合わせとして、正しいのはどれか。
A:アカマツ
B:ソテツ
C:ニセアカシア
D:ヤシャブシ
E:ヤマモモ

  1. A、C、D、E
  2. A、B、E
  3. A、B
  4. B、C、D、E
  5. C、D
R5-24手引き 各論3章・2|樹木の栄養成長
設問上の正解4

Bソテツ、Cニセアカシア、Dヤシャブシ、Eヤマモモは、根の内部で窒素固定生物と共生する。Aアカマツはこの組には入らない。

基本解説

窒素固定共生は、マメ科だけではない

共生微生物が大気中N₂を固定植物が利用可能な窒素化合物を得る植物は光合成産物などを共生相手へ供給
整理表
植物群・例主な共生相手構造
マメ科:ニセアカシア根粒菌根粒
ハンノキ類:ヤシャブシFrankia(放線菌)根粒
ヤマモモFrankia根粒
ソテツ窒素固定性シアノバクテリアサンゴ状根
アカマツ菌根菌とは共生するが、本問の窒素固定共生には含めない外生菌根

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各論 第3章 樹木の生理3|樹木の生殖成長:開花と結実
C深度I手引き 各論3章・3R1-13B|全体整理型

09核果(石果)をつける樹種

問題

次のうち、核果(石果)をつける樹種の組み合わせとして、正しいのはどれか。

  1. アラカシ、オオシマザクラ、ハルニレ
  2. オオシマザクラ、モチノキ
  3. クチナシ、ハルニレ、モチノキ
  4. クチナシ、ハルニレ
  5. アラカシ、クチナシ、モチノキ
R1-13手引き 各論3章・3|樹木の生殖成長:開花と結実
設問上の正解2

オオシマザクラとモチノキは核果をつける。果肉の内側に硬い核があり、その中に種子を含む型である。

基本解説

核果は、硬い内果皮が一つの核をつくる果実

整理表
樹種果実型の整理
オオシマザクラ核果
モチノキ核果
アラカシ堅果(どんぐり)
ハルニレ翼果
クチナシ液果状だが核果ではない
用語を押さえる
核果
外果皮・中果皮・内果皮が分化し、内果皮が硬化して核をつくる果実。サクラ類が典型。

樹木医の手引き 第4版 p.153 ES版 37頁

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各論 第3章 樹木の生理3|樹木の生殖成長:開花と結実
C深度II手引き 各論3章・3R3-28B|全体整理型

10樹木の雌雄性

問題

樹木には、ひとつの個体内に両性を有し、雌雄性がないものが多いが、雄花と雌花を別々の個体につける雌雄異株の樹種も知られている。次のうち、全ての樹種が雌雄異株の樹種の組み合わせとして、正しいのはどれか。

  1. スギ、ヒノキ、クロガネモチ
  2. イチョウ、イヌマキ、クロガネモチ
  3. イチョウ、クロマツ、カラマツ
  4. イヌマキ、コウヤマキ、スギ
  5. アオキ、ヒノキ、クロマツ
R3-28手引き 各論3章・3|樹木の生殖成長:開花と結実
設問上の正解2

イチョウ、イヌマキ、クロガネモチはいずれも、雄性生殖器官と雌性生殖器官を別の個体につける雌雄異株として整理する。

基本解説

雌雄異株は『雄株と雌株が別個体』

整理表
区分代表例
雌雄異株イチョウ、イヌマキ、クロガネモチ、アオキなど
雌雄同株スギ、ヒノキ、クロマツ、カラマツなど
注意種内変異や例外があり得るが、試験では代表的性表現で整理する

樹木医の手引き 第4版 p.153 ES版 37頁

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各論 第3章 樹木の生理3|樹木の生殖成長:開花と結実
AA深度III手引き 各論3章・3R4-28B|全体整理型

11有効積算温度

問題

植物の開花や種子の成熟等の予想に用いられる指標として「有効積算温度」があるが、次のうち、この指標の説明として、正しいのはどれか。

  1. 日最高気温から一定の温度を引いた値を、正負に関係なくある期間合計したもの。
  2. 日最高気温から一定の温度を引いた値のうち、正になる日の値のみを、ある期間合計したもの。
  3. 日平均気温から一定の温度を引いた値を、正負に関係なくある期間合計したもの。
  4. 日平均気温から一定の温度を引いた値のうち、正になる日の値のみを、ある期間合計したもの。
  5. 日平均気温から一定の温度を引いた値のうち、負になる日の値のみを、ある期間合計したもの。
R4-28手引き 各論3章・3|樹木の生殖成長:開花と結実
設問上の正解4

有効積算温度は、日平均気温から発育零点などの基準温度を引き、正になった日の値だけを期間内で合計する。

基本解説

有効積算温度は、生物が発育できた日の『基準温度を超えた分』を貯める指標

昆虫の発育や植物の開花・成熟は、一定範囲では温度が高いほど速く進みます。しかし、ある温度より低い日は発育がほとんど進みません。この発育が始まる下限温度を発育零点などの基準温度とし、毎日の日平均気温が基準を何度上回ったかを足し合わせたものが有効積算温度です。寒い日の負の値で、すでに進んだ発育が逆戻りするとは考えません。

計算式
1日の有効温度 = max(日平均気温 − 基準温度, 0)
有効積算温度 = 対象期間における1日の有効温度の合計
指標の用途と温暖化への接続
  • 用いるのは原則として日平均気温で、日最高気温だけではない。
  • 必要な積算値へ早く到達すれば、開花や害虫の発生時期が早まる可能性がある。
  • 暖かい期間が長くなり積算値が増えると、害虫では年間世代数が増える可能性も考えられる。

樹木医の手引き 第4版 p.153 ES版 37頁

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各論 第3章 樹木の生理5|巨樹、老樹の生理
C深度II手引き 各論3章・5R3-03A|選択肢別判定型

12樹齢と年輪

問題

樹木の年齢・年輪に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 最大樹齢が100年に満たない樹種を「短命」と定義すると、ハルニレ・ホオノキ・ヤマザクラの3種はいずれも短命の樹種である。
  2. 炭素14を用いた放射性炭素年代測定法を用いると、樹齢300年より若い樹木であれば、年輪測定よりも高い精度で樹齢を推定することができる。
  3. 実際に年輪測定された樹木の年齢の日本における最大値は、鹿児島県屋久島町にあるスギ「縄文杉」の約7,200年である。
  4. 実際に年輪測定された樹木の年齢の世界における最大値は、スウェーデンにあるドイツトウヒ「Old Tjikko」の約9,500年である。
  5. 年輪年代法では、標準年輪幅変動パターン(標準パターン)と試料の年輪幅の変化を比較することで、試料の年輪が形成された年代を決定する。日本のスギやヒノキでは約3,000年前まで標準パターンがつくられている。
R3-03手引き 各論3章・5|巨樹、老樹の生理
設問上の正解5

年輪年代法は、地域の標準年輪幅変動パターンと試料の年輪幅系列を照合し、各年輪が形成された暦年を決める。日本のスギ・ヒノキでは長期の標準パターンが整備されている。

  1. ×
    選択肢1

    短命・長命を最大樹齢100年で一律に定義する標準はなく、ハルニレ・ホオノキ・ヤマザクラを全て100年未満とすることもできない。

    樹種の寿命は観測個体、立地、更新様式を踏まえて扱う。
  2. ×
    選択肢2

    年輪を直接数えられる若い木では年単位で判定でき、放射性炭素年代測定より一般に高精度である。

    放射性炭素年代測定は年輪を数えられない古材等で有効だが、若い年代には測定誤差の影響が大きい。
  3. ×
    選択肢3

    縄文杉の約7,200年は推定説であり、幹の全周を連続して年輪測定した確定樹齢ではない。

    推定樹齢と実測した年輪数を区別する。
  4. ×
    選択肢4

    Old Tjikkoの約9,500年は地下部を共有し更新してきたクローン系統の年代で、現存幹一本の年輪数ではない。

    個体幹の年齢とクローン集団の存続年代を区別する。
  5. ○
    選択肢5

    年輪年代法は標準年輪幅変動パターンと試料系列をクロスデーティングし、各年輪が形成された暦年を決定する。

基本解説

『個体年齢』『クローン年齢』『推定値』を混同しない

試験で押さえる事項
  • 短命・長命に100年という統一的な生物学的定義はなく、ハルニレ等を一括して100年未満とするのは不適切。
  • 若い木では年輪を直接数えられるなら、その方が放射性炭素年代測定より年単位で精密。
  • 縄文杉の7,200年説は推定値で、全周を連続して年輪測定した確定値ではない。
  • Old Tjikkoの約9,500年は主に地下部を共有するクローン系統の年代で、現存幹一本の年輪数ではない。
用語を押さえる
クロスデーティング
年輪幅の広狭パターンを複数試料間で照合し、欠落輪・偽年輪を補正しながら暦年を決める方法。

樹木医の手引き 第4版 p.155 ES版 38頁

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