TREE DOCTOR EXAM · SYSTEMATIC REFERENCE V6.0.1

各論 第2章 樹木の構造と機能

収録15問。ワイド画面では左に問題、右に正答・解説を表示し、狭い画面では縦方向に読み進められます。

各論 第2章 樹木の構造と機能

各問題のランク・深度は詳細分析の正本です。学習状態は明示的に選択してください。

各論 第2章 樹木の構造と機能4|芽及び分枝
B深度II手引き 各論2章・4R4-01C|重点誤答型

01スモモ・ヤマザクラの花序と枝構造

問題

次は、スモモとヤマザクラの花の写真である。スモモとヤマザクラの花序や枝の構造に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

R4-Q01の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. スモモとヤマザクラは、ひとつの枝に葉と花が混在する混芽をつける。
  2. スモモは、花が1個だけの花序を形成する。
  3. スモモは、葉痕の上部に1~3個の冬芽をつける。
  4. ヤマザクラの前年枝の先端につける頂芽は、花芽となる。
  5. ヤマザクラは、葉痕の上部に2~3個の冬芽をつける。
R4-01手引き 各論2章・4|芽及び分枝
設問上の正解3

スモモでは葉痕の上に1~3個の冬芽が並ぶことがあり、中央が葉芽、両側が花芽となる配置も見られる。

注意すべき選択肢

1

スモモとヤマザクラを一律に混芽とするのは誤り。葉と花が近い時期に展開しても、一つの芽に両方を含むとは限らない。単芽か混芽かを、開花時の見た目ではなく冬芽の内容で判断する。

4

ヤマザクラの前年枝の頂芽を一律に花芽とはできない。頂芽・腋芽の位置と、花芽・葉芽の別を分けて観察する。

5

葉痕上に2~3個の冬芽が並ぶという特徴をヤマザクラへ当てた入替え誤答。スモモでは葉痕上に1~3個の冬芽が並ぶ場合がある。

基本解説

写真だけでなく、短枝上の芽の並びを読む

試験で押さえる事項
  • スモモは花芽と葉芽が分かれる単芽として整理し、ひとつの芽に葉と花を含む混芽としない。
  • スモモの花は1個だけの花序に限られず、短枝に複数花がまとまって見える。
  • ヤマザクラは葉の展開と花が近い時期に見られるが、前年枝の頂芽を一律に花芽とはしない。
  • 芽の問題は、花の見た目より『頂芽か腋芽か』『単芽か混芽か』『1葉痕当たりの芽数』で整理する。
用語を押さえる
葉痕
葉が落ちた後、枝に残る付着跡。冬芽の位置関係を読む基準になる。

樹木医の手引き 第4版 p.107 ES版 27-28頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能4|芽及び分枝
B深度II手引き 各論2章・4R5-20B|全体整理型

02根では生じずシュートだけで生じる現象

問題

次の樹木の生理的な作用や現象のうち、根では生じずシュートのみで生じるものとして、正しいのはどれか。

  1. 体細胞分裂
  2. 重力屈性
  3. 細胞呼吸
  4. 側芽形成
  5. 転流
R5-20手引き 各論2章・4|芽及び分枝
設問上の正解4

側芽は葉の腋に形成されるシュート固有の構造で、根には葉も葉腋もないため側芽形成は起こらない。

基本解説

根にも共通する生命現象を消し、シュート固有の器官形成を残す

整理表
現象根でも起こるか理由
体細胞分裂起こる根端分裂組織などで成長する。
重力屈性起こる根は正の、シュートは負の重力屈性を示すのが基本。
細胞呼吸起こる生きた根細胞も酸素を使って呼吸する。
側芽形成根では起こらない側芽は葉腋にできる。
転流起こる師部を通じて同化産物が根へも運ばれる。
用語を押さえる
シュート
茎と、そこにつく葉・芽などを合わせた地上部の基本単位。

樹木医の手引き 第4版 p.107 ES版 27-28頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能5|枝
C深度III手引き 各論2章・5H30-20B|全体整理型

03幹と枝の年輪構造

問題

次の模式図のうち、幹と枝の中心(髄)を通る縦断面に現れる年輪の様子を描いた図として、正しいのはどれか。なお、描かれている幹も枝も健全に成長しているものとする。

H30-Q20の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. 模式図1
  2. 模式図2
  3. 模式図3
  4. 模式図4
  5. 模式図5
H30-20手引き 各論2章・5|枝
設問上の正解2

枝の木部と幹の木部は形成時から連続し、その後の幹の年輪が枝の基部を毎年外側から包み込む。図2はこの連続性と年輪の重なりを表す。

基本解説

枝は幹に刺さった棒ではなく、毎年つくられる木部によって幹と一体化する

幹も枝も、形成層が毎年外側へ新しい木部を加えることで太ります。枝が生じた年から枝の木部と幹の木部は連続しており、その後にできる幹の年輪は枝の基部を上下から少しずつ包み込みます。したがって、髄を通る縦断面では、幹の年輪が枝の付け根で滑らかに曲がり、枝側の年輪と立体的に重なって見えます。

年輪が枝を包むまで
  1. 枝が発生した時点で、枝と幹の木部が連続する。
  2. 次の生育期に、幹と枝の形成層がそれぞれ新しい木部を外側へつくる。
  3. 幹側の新しい年輪が、枝基部の上側と下側から包み込む。
  4. この過程が毎年繰り返され、荷重を伝えられる枝付け根ができる。
模式図を読む手掛かり
  • 年輪線が途中で不自然に切れたり、互いに交差したりする図は除外する。
  • 枝が完成した幹へ後から差し込まれたような図は、肥大成長の仕組みと合わない。
  • 幹の年輪が枝基部を包み、枝と幹の木部が連続する図2が正しい。

樹木医の手引き 第4版 p.108 ES版 28頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能6|葉
B深度I手引き 各論2章・6H30-02A|選択肢別判定型

04ナナカマドの葉の形態

問題

次はナナカマドの写真であるが、ナナカマドの葉に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。なお、写真上の白い斑点や、脱色した状態については、本設問とは無関係とする。

H30-Q02の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. 小葉は、全縁である。
  2. 小葉は、広卵形である。
  3. 小葉は、羽状脈である。
  4. 葉は、偶数羽状複葉である。
  5. 明らかな小葉柄がある。
H30-02手引き 各論2章・6|葉
設問上の正解3

ナナカマドは奇数羽状複葉で、小葉には主脈から側脈が羽状に分かれる羽状脈が見られる。

  1. ×
    選択肢1

    ナナカマドの小葉縁には鋸歯があり、切れ込みのない全縁ではない。

    小葉の縁には鋭い鋸歯が並ぶ。
  2. ×
    選択肢2

    小葉は広卵形ではなく、狭長楕円形から披針形に近い細長い輪郭である。

    小葉の縦横比と最も幅広い位置を観察する。
  3. ○
    選択肢3

    小葉には中央の主脈から側脈が左右へ羽状に分かれる羽状脈がみられる。

  4. ×
    選択肢4

    葉軸の先端に頂小葉が1枚あるため、偶数羽状複葉ではなく奇数羽状複葉である。

    頂小葉の有無で奇数羽状複葉と偶数羽状複葉を区別する。
  5. ×
    選択肢5

    ナナカマドの側小葉はほぼ無柄または小葉柄がごく短く、明らかな小葉柄があるとはいえない。

    葉全体の葉柄と、各小葉の小葉柄を区別して観察する。
基本解説

『複葉全体』と『小葉一枚』を分けて観察する

整理表
観察対象ナナカマドの特徴
葉全体先端に頂小葉をもつ奇数羽状複葉
小葉の形狭楕円形~披針状で、広卵形ではない
小葉の縁鋸歯があるため全縁ではない
小葉の脈羽状脈
小葉柄明瞭でない、またはごく短い
用語を押さえる
奇数羽状複葉
葉軸の左右に小葉が並び、先端に1枚の頂小葉をもつ複葉。
羽状脈
一本の主脈から左右へ側脈が羽のように分かれる脈系。

樹木医の手引き 第4版 p.109 ES版 28-29頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能6|葉
C深度III手引き 各論2章・6R1-16A|選択肢別判定型

05樹木の気孔

問題

樹木の気孔に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 土壌が乾燥すると気孔を閉じるが、その根から葉への情報伝達に植物ホルモンのジャスモン酸が関与する。
  2. 水分が十分な場合、葉の内部の二酸化炭素濃度が高いと気孔は閉じ、濃度が低いと開く。
  3. 気孔は水蒸気(水)を通す気孔と二酸化炭素を通す気孔に大別できるが、一般に後者のほうが大きく分布密度が低い。
  4. 一般に草本植物の気孔は向軸面より背軸面の分布密度が高いが、木本種の気孔は向軸面の密度が高い。
  5. 針葉樹の葉にも気孔があるが、広葉樹の葉の気孔とは異なり孔辺細胞を持たない。
R1-16手引き 各論2章・6|葉
設問上の正解2

葉内CO₂濃度が高いと追加のCO₂取り込みが不要になり気孔は閉じる方向へ、低いと開く方向へ調節される。

  1. ×
    選択肢1

    土壌乾燥時に根から葉へ伝わり気孔閉鎖を促す主要な植物ホルモンはアブシシン酸(ABA)である。

    ジャスモン酸ではなくABAを乾燥応答の中心として押さえる。
  2. ○
    選択肢2

    水分が十分な条件では、葉内CO₂濃度が低いと取り込みのため開き、高いと追加取り込みが不要となり閉じる方向へ調節される。

  3. ×
    選択肢3

    CO₂、O₂、水蒸気は同じ気孔を通って拡散する。物質ごとに別種の気孔があるわけではない。

    気孔はガス交換と蒸散を同時に調節する共通の開口部である。
  4. ×
    選択肢4

    多くの木本広葉樹でも、気孔は向軸面(葉表)より背軸面(葉裏)に多い。

    葉裏に多いことは、水損失や直射・風の影響を抑える配置として理解する。
  5. ×
    選択肢5

    針葉樹の気孔にも一対の孔辺細胞があり、その膨圧変化によって開閉する。

    針葉樹では気孔がくぼむなど乾燥適応がみられても、孔辺細胞を欠くわけではない。
基本解説

気孔は、光合成に必要な二酸化炭素の入口であると同時に、水を失う出口でもある

気孔は葉の表皮にある小さな開口部で、一対の孔辺細胞が囲んでいます。孔辺細胞の膨圧が変わると気孔が開閉し、二酸化炭素は葉内へ入り、酸素と水蒸気は主に外へ出ます。二酸化炭素を取り込むために開けば蒸散による水損失も増えるため、樹木は光、葉内二酸化炭素濃度、水分状態などを総合して開き具合を調節します。用途別に別々の気孔があるわけではありません。

水分が十分なときの葉内二酸化炭素への応答
光合成で葉内二酸化炭素が消費され、濃度が低下する気孔が開く方向へ調節される大気から二酸化炭素が流入する葉内二酸化炭素が高いと、追加の取り込みが不要になり閉じる方向へ向かう
誤答を見抜くための基礎
  • 土壌乾燥時の閉鎖シグナルではアブシシン酸(ABA)が重要で、ジャスモン酸への置換は誤り。
  • 多くの木本広葉樹では気孔は葉裏側に多く、針葉樹の気孔にも孔辺細胞がある。
  • 乾燥に適応した針葉では気孔が葉面よりくぼむことがあるが、基本構造とガス交換の役割は共通する。

樹木医の手引き 第4版 p.109 ES版 28-29頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能6|葉
B深度I手引き 各論2章・6R5-11B|全体整理型

06クスノキ科の葉脈

問題

クスノキ科の樹木には三行脈と羽状脈の葉脈をもつものがある。次のうち、(A)三行脈、(B)羽状脈の葉脈をもつクスノキ科の樹木の組み合わせとして、正しいのはどれか。

  1. (A)クスノキ (B)ヤブニッケイ
  2. (A)シロダモ (B)クロモジ
  3. (A)テンダイウヤク (B)シロダモ
  4. (A)クロモジ (B)タブノキ
  5. (A)タブノキ (B)クスノキ
R5-11手引き 各論2章・6|葉
設問上の正解2

シロダモは葉の基部付近から3本の太い脈が伸びる三行脈、クロモジは中央の主脈から側脈が分かれる羽状脈である。

基本解説

クスノキ科は『基部から三本』か『中央一本+側脈』かで分ける

整理表
葉脈型代表例見分け方
三行脈クスノキ、ヤブニッケイ、シロダモ、テンダイウヤクなど葉基付近から三本の主脈が目立つ。
羽状脈クロモジ、タブノキなど中央主脈から側脈が左右へ分かれる。

樹木医の手引き 第4版 p.109 ES版 28-29頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能7|樹幹の構造
C深度III手引き 各論2章・7H30-21B|全体整理型

07あて材

問題

次は樹木のあて材に関する記述であるが、文中のA~Fの空欄を埋める用語の組み合わせとして正しいのはどれか。

傾斜地に生えている樹木の幹は、ふつう偏心成長し、そこにあて材が形成される。針葉樹では傾斜した幹の(A)に(B)あて材が形成され、広葉樹では、一部の例外を除き、傾斜した幹の(C)に(D)あて材が形成される。針葉樹のあて材は正常材に比べて濃色で、(E)が多く(F)が少ないという特徴をもつ。これに対して広葉樹の(D)あて材は正常材に比べて淡色で、(E)が少なく、(F)やペントサンが多いという特徴をもつ。

  1. A:上側 B:引張 C:下側 D:圧縮 E:セルロース F:リグニン
  2. A:上側 B:引張 C:下側 D:圧縮 E:リグニン F:セルロース
  3. A:下側 B:圧縮 C:上側 D:引張 E:セルロース F:リグニン
  4. A:下側 B:引張 C:上側 D:圧縮 E:セルロース F:リグニン
  5. A:下側 B:圧縮 C:上側 D:引張 E:リグニン F:セルロース
H30-21手引き 各論2章・7|樹幹の構造
設問上の正解5

針葉樹では傾斜幹の下側に圧縮あて材、広葉樹では原則として上側に引張あて材を形成する。成分も反対方向に変わる。

基本解説

あて材は、傾いた幹や枝の姿勢を戻すために偏って形成される特殊な木部

樹木の幹や枝が傾くと、重力に対して姿勢を保つため、通常とは性質の異なる木部を片側に多くつくります。これがあて材です。単に傾いた側の年輪が厚くなる現象ではなく、細胞壁の構造や化学成分まで変わり、力を発生させて姿勢を補正します。針葉樹と広葉樹では、形成する位置も力の出し方もほぼ反対です。

圧縮あて材と引張あて材
比較項目針葉樹広葉樹(一般的な型)
形成位置傾いた幹・枝の下側傾いた幹・枝の上側
名称圧縮あて材引張あて材
働きのイメージ下側から押し上げる上側から引き上げる
リグニン多い少ない
セルロース少ない多い
色調正常材より濃色になりやすい正常材より淡色になりやすい

リグニンは細胞壁を硬くし圧縮に耐える性質へ関係し、セルロースは繊維方向の引張りに強い材料です。この材料特性まで結び付けると、針葉樹の『下・圧縮・リグニン多』と、広葉樹の『上・引張・セルロース多』を別々の丸暗記にせず、一つの仕組みとして覚えられます。

樹木医の手引き 第4版 p.112 ES版 29-30頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能7|樹幹の構造
C深度II手引き 各論2章・7R3-23B|全体整理型

08傷害樹脂道

問題

次は樹木の傷害樹脂道に関する記述であるが、文中のA~Dを埋める用語の組み合わせとして、正しいのはどれか。
正常樹脂道をもたない樹種の中には、傷を付けることにより傷害樹脂道が形成され、傷口から樹脂状物質を分泌するものがある。針葉樹の分泌物は主に[A]からなる樹脂である。傷害樹脂道は、ほとんどの場合、二次師部または二次木部のどちらかにつくられ、どちらにつくられるかは樹種によって異なる。針葉樹では、[B]の樹種は二次師部に、[C]の樹種は二次木部に傷害樹脂道が形成される。また、[D]などの正常樹脂道をもつ針葉樹の多くは傷害樹脂道も形成する。

  1. (A)テルペン類 (B)モミ属やツガ属 (C)スギ属やヒノキ属 (D)マツ属やトウヒ属
  2. (A)テルペン類 (B)マツ属やトウヒ属 (C)スギ属やヒノキ属 (D)モミ属やツガ属
  3. (A)テルペン類 (B)スギ属やヒノキ属 (C)モミ属やツガ属 (D)マツ属やトウヒ属
  4. (A)フェノール類 (B)マツ属やトウヒ属 (C)スギ属やヒノキ属 (D)モミ属やツガ属
  5. (A)フェノール類 (B)スギ属やヒノキ属 (C)モミ属やツガ属 (D)マツ属やトウヒ属
R3-23手引き 各論2章・7|樹幹の構造
設問上の正解3

針葉樹の樹脂は主にテルペン類。スギ属・ヒノキ属では傷害樹脂道が二次師部に、モミ属・ツガ属では二次木部に形成され、マツ属・トウヒ属は正常樹脂道に加えて傷害樹脂道も形成する。

基本解説

樹脂の成分、形成部位、正常樹脂道の三列で覚える

傷害・感染傷害樹脂道を誘導形成樹脂を分泌侵入者の移動や傷口の拡大を抑える
整理表
項目代表
針葉樹樹脂の主成分テルペン類
傷害樹脂道:二次師部スギ属・ヒノキ属
傷害樹脂道:二次木部モミ属・ツガ属
正常樹脂道もつマツ属・トウヒ属など
用語を押さえる
正常樹脂道
傷がなくても通常の発達過程で形成される樹脂道。
傷害樹脂道
傷害などへの反応として新たに形成される樹脂道。

樹木医の手引き 第4版 p.112 ES版 29-30頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能8|針葉樹材と広葉樹材
A深度III手引き 各論2章・8R1-20B|全体整理型

09葉・枝と木部顕微鏡像による樹種識別

問題

次のA~Dは、樹木の葉と枝の写真であり、ア~エは、樹木の正常な木部の横断面(木口面)の顕微鏡写真である。次のうち、写真(樹木の葉と枝)と横断面(樹木の正常な木部)との組み合わせとして、正しいのはどれか。

R1-Q20の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. (A)ア (B)イ (C)ウ (D)エ
  2. (A)ア (B)ウ (C)イ (D)エ
  3. (A)ア (B)エ (C)ウ (D)イ
  4. (A)イ (B)ア (C)エ (D)ウ
  5. (A)イ (B)エ (C)ア (D)ウ
R1-20手引き 各論2章・8|針葉樹材と広葉樹材
設問上の正解1

A→ア、B→イ、C→ウ、D→エ。葉だけで樹種名を当てにいかず、木部の大分類を先に行うと組合せが崩れにくい。

基本解説

木口面の識別は、樹種名を当てる前に『道管の有無』で二分する

木部は、水を運ぶ細胞、樹体を支える細胞、養分を蓄える細胞などからできています。針葉樹の木部は主に仮道管からなり、広葉樹の木部には水を運ぶ太い道管があります。木口面を拡大したとき、肉眼でも孔のように見える大きな円形・楕円形の構造が道管です。したがって、写真問題ではいきなり樹種名を当てるより、最初に道管が見えるかを確認すると、針葉樹と広葉樹を大きく分けられます。

木口面で見る三つの識別軸
観察点見え方示すもの
道管大きな孔状の細胞がある/ないあるものは広葉樹、ないものは針葉樹の候補
道管の配列年輪初めに大径道管が帯状/年輪内に散在環孔材/散孔材など広葉樹材の型
正常樹脂道年輪内に比較的大きな円形の通路マツ属などを見分ける手掛かり
掲載写真を対応させる順序
  1. ア・イには道管があるので、広葉樹であるA・Bへ対応させる。
  2. ウ・エには明瞭な道管がないので、針葉樹であるC・Dへ対応させる。
  3. Cのマツ類は正常樹脂道の見えるウ、Dのスギ類はエと判断する。
  4. 広葉樹側は、年輪初めに大径道管が並ぶ環孔材をA=ア、残るB=イとして、組合せ1を得る。

樹木医の手引き 第4版 p.116・p.63 ES版 30-32頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能8|針葉樹材と広葉樹材
A深度II手引き 各論2章・8R4-21B|全体整理型

10木部顕微鏡像によるクリの識別

問題

次は5種類の樹木(クロマツ、クリ、ヒイラギ、ブナ、ヤマザクラ)の正常な木部の横断面(木口)の顕微鏡写真であるが、1~5のうち、クリに該当するものとして、正しいのはどれか。

R4-Q21の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. 写真1
  2. 写真2
  3. 写真3
  4. 写真4
  5. 写真5
R4-21手引き 各論2章・8|針葉樹材と広葉樹材
設問上の正解4

写真4では、年輪の初めに非常に大きい道管が一列~数列で並び、その後の道管が急に小さくなる。これはクリの典型的な環孔材組織である。

基本解説

クリは典型的な環孔材――年輪初めの大径道管を見る

試験で押さえる事項
  • 写真5は道管がなく、樹脂道が見える針葉樹材として読める。
  • 写真1・2のように道管径が年輪内で大きく変わらず散るものは散孔材として扱う。
  • 識別は『大きな穴があるか』だけでなく、『年輪のどこに、どのように並ぶか』を見る。
用語を押さえる
早材
成長期の初めにつくられる木部。環孔材では大径道管が並ぶ。
晩材
成長期の後半につくられる木部。一般に細胞径が小さく、組織が緻密になる。

樹木医の手引き 第4版 p.116 ES版 30-32頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能8|針葉樹材と広葉樹材
A深度III手引き 各論2章・8R5-21B|全体整理型

11針葉樹・広葉樹の木部顕微鏡像

問題

次は針葉樹(スギ)と広葉樹(ソメイヨシノ)の正常な木部の断面の光学顕微鏡写真であるが、1~5のうち針葉樹(スギ)の接線断面(板目面)に該当するものとして、正しいのはどれか。

R5-Q21の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. 写真1
  2. 写真2
  3. 写真3
  4. 写真4
  5. 写真5
R5-21手引き 各論2章・8|針葉樹材と広葉樹材
設問上の正解1

写真1はスギの接線断面。軸方向に長い仮道管が縦に並び、放射組織は接線面で断ち切られて短い紡錘状・点状に見える。

基本解説

木材の三断面を、年輪と放射組織の切られ方から見分ける

幹は縦方向に長い円柱と考えると、木材の断面は三種類に整理できます。幹を輪切りにした横断面(木口面)、髄から樹皮へ向かう半径を含めて縦に切る放射断面(柾目面)、年輪へ接する向きに縦に切る接線断面(板目面)です。同じ組織でも切る方向が変われば形が変わるため、写真の模様だけを丸暗記せず、細胞や組織をどの向きから見ているかを考えます。

三断面の見え方
断面切断方向年輪・放射組織の見え方
横断面(木口面)幹軸に直角年輪は帯状・同心円状。軸方向に長い細胞は輪切りになる。
放射断面(柾目面)幹軸と髄を通る縦断放射組織を長手方向に切るため、横へ続く帯のように見えやすい。
接線断面(板目面)幹軸に沿い、年輪へ接する縦断放射組織を横切るため、短い紡錘状・点状に見える。
この写真問題の絞り込み
  1. まず道管の有無を見る。大きな道管が目立つものはソメイヨシノ、道管がなく仮道管主体のものはスギである。
  2. スギ候補の中で、放射組織が短い紡錘状・点状に見える接線断面を探す。
  3. 写真1がこの条件を満たすため正答となる。

樹木医の手引き 第4版 p.116 ES版 30-32頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能9|根
B深度III手引き 各論2章・9H30-32A|選択肢別判定型

12根の生理・生態

問題

樹木の根の生理・生態等に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 根が吸収する水分は、一般にその大部分が蒸散のために消費される。
  2. 根系の広がりは、自然環境下では一般に枝張りの広さと同じ程度である。
  3. 寒冷地の樹木では、一般に地上部が休眠状態になると地下部も休眠する。
  4. 根の呼吸では、一般に土壌空気中の酸素を直接吸収する。
  5. 根は、一般に土壌が乾燥状態になると細根は太くなり分岐数は少なくなる。
H30-32手引き 各論2章・9|根
設問上の正解1

根から吸収された水の大部分は、木部を上昇して葉から蒸散する。体内保持や光合成反応に使われる割合は小さい。

  1. ○
    選択肢1

    根から吸収された水の大部分は木部を上昇し、葉内で蒸発して気孔から大気へ出る蒸散に使われる。

  2. ×
    選択肢2

    自然木の根系は樹冠投影の外側まで広がることが多く、枝張りと同じ範囲に収まるとは限らない。

    根の広がりは樹種、土壌、水分・酸素分布、障害物などに左右される。
  3. ×
    選択肢3

    地上部が休眠しても、地温などの条件が許せば根は成長・活動を続けることがあり、両者の休眠は完全には一致しない。

    根の活動は主に地温や土壌水分等の地下部環境で判断する。
  4. ×
    選択肢4

    根は土壌空気に由来する酸素だけでなく、土壌水に溶けた酸素も利用する。根表面では水相を介した拡散が関与するため『土壌空気から直接』との一律表現は不適切である。

    気相から供給され土壌水へ溶けた酸素を含め、根圏の酸素を呼吸に利用する。
  5. ×
    選択肢5

    乾燥時の細根形態や分岐は樹種・乾燥程度・土壌条件で変わり、必ず太くなって分岐が減るとはいえない。

    乾燥応答を単一の形態変化として断定しない。
基本解説

根の吸水は、葉からの蒸散と連動する『土壌から大気までの水の流れ』の一部

根は樹体を固定するだけでなく、水と無機養分の吸収、呼吸、養分の貯蔵などを担います。吸収された水の大部分は樹体内に蓄えられるのではなく、木部を通って葉へ運ばれ、葉肉細胞の表面で蒸発して気孔から大気へ出ます。光合成反応そのものに使われる水は吸水量のごく一部であり、連続した水流を生む中心は蒸散です。

水の移動経路
若い細根が土壌水を吸収する水が根から幹の木部へ入る蒸散による張力で枝・葉へ上昇する葉内で蒸発し、気孔から大気へ拡散する
根について一律に決めつけない
  • 根系は樹冠投影より外側まで広がることが多く、枝張りと同じ範囲に収まるとは限らない。
  • 地上部が休眠しても、地温などの条件がよければ根が活動することがあり、休眠時期は完全には一致しない。
  • 根は土壌空気だけでなく土壌水に溶けた酸素も呼吸に利用する。
  • 乾燥時の細根形態は樹種や環境で変わるため、『必ず太くなり分岐が減る』とは断定できない。

樹木医の手引き 第4版 p.127 ES版 32頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能9|根
B深度III手引き 各論2章・9R5-29A|選択肢別判定型

13樹木の根

問題

樹木の根に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 根は水中の溶存酸素を利用できる。
  2. 成長して表面が茶色くなった根でも水分を吸収できる。
  3. 垂下根は支持根としてのみ機能し、水分を吸収しない。
  4. 施肥は根量の増加に寄与しない。
  5. 垂下根の内皮には通気組織が発達する。
R5-29手引き 各論2章・9|根
設問上の正解1

根は土壌水に溶けた酸素を呼吸に利用できる。ただし過湿になると気相が減り、酸素供給が消費に追いつかなくなる。

  1. ○
    選択肢1

    根は土壌水に溶けた溶存酸素を呼吸に利用できる。ただし水中の酸素拡散は遅く、過湿では供給不足になりやすい。

  2. ×
    選択肢2

    表面が褐色化した古い根は周皮が発達し、スベリン沈着により透水性が低下する。吸水の中心は若い細根である。

    根量ではなく、白色から淡色の新鮮な細根が機能しているかを確認する。
  3. ×
    選択肢3

    垂下根は支持機能だけに限定されず、地面へ到達すれば水分・無機養分の吸収にも関与する。

    根の機能は伸長先の環境と土壌への接触で変わる。
  4. ×
    選択肢4

    養分条件は根への炭素配分や細根量に影響し、適切な施肥によって根量が増える場合がある。

    施肥の効果は養分不足、施用量、土壌物理性などと合わせて判断する。
  5. ×
    選択肢5

    通気組織は過湿・低酸素への適応として主に根の皮層に発達する。垂下根の内皮に必ず発達する構造ではない。

    通気組織の位置と、垂下根という成長形態を混同しない。
基本解説

根の働きは、若さ・酸素条件・土壌との接触で変わる

根の細胞も生きているので、養分吸収や成長のために呼吸し、酸素を必要とします。酸素は土壌の気相から供給されるだけでなく、土壌水に溶けた溶存酸素も利用されます。ただし、水中では酸素の移動が空気中より遅いため、土壌の孔隙が水で満たされる過湿状態では、根と微生物の消費に供給が追いつかず酸素不足になりやすくなります。『水中の酸素を使える』ことと『湛水しても平気』であることは同じではありません。

選択肢を判断するための根の基礎
論点基本的な考え方
吸水する根若い細根が中心。古く褐色化して周皮が発達し、スベリンが沈着した部分は吸水しにくい。
垂下根空中から下へ伸びる根。地面へ達すれば支持に加えて吸水・養分吸収にも関与できる。
施肥と根量養分条件が変われば根の配分や細根量も変化し得る。『施肥は寄与しない』とは断定できない。
通気組織過湿・低酸素への適応として主に皮層に発達する組織で、垂下根の内皮に必ずある構造ではない。

現場診断では、根があるかどうかだけでなく、細根が新鮮か、土壌に大きな孔隙があるか、停滞水や異臭がないかを合わせて見ます。これは根量と根の機能が同じではないためです。

樹木医の手引き 第4版 p.127 ES版 32頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能10|樹皮
B深度III手引き 各論2章・10R1-19B|全体整理型

14樹皮の形成

問題

次は、樹皮の形成に関する記述であるが、A~Eの空欄を埋める用語の組み合わせとして、正しいのはどれか。
枝の表面は、二次師部が形成されはじめてから数年間は表皮や(A)により保護されている。木部と師部の肥大により表皮と(A)はやがて裂けて脱落し、外樹皮が形成される。外樹皮形成に先立って、まず二次師部に(B)ができ、その内側に(C)、外側に(D)ができて(E)を作る。

  1. (A)皮層 (B)コルク形成層 (C)コルク組織 (D)コルク皮層 (E)周皮
  2. (A)皮層 (B)コルク形成層 (C)コルク皮層 (D)コルク組織 (E)周皮
  3. (A)皮層 (B)コルク組織 (C)コルク皮層 (D)コルク形成層 (E)周皮
  4. (A)周皮 (B)コルク形成層 (C)コルク組織 (D)コルク皮層 (E)外皮
  5. (A)周皮 (B)コルク組織 (C)コルク形成層 (D)コルク皮層 (E)外皮
R1-19手引き 各論2章・10|樹皮
設問上の正解2

若い枝は表皮と皮層で守られ、肥大に伴って二次師部にコルク形成層が生じる。コルク形成層は内側へコルク皮層、外側へコルク組織をつくり、三者で周皮を構成する。

基本解説

肥大する枝では、表皮に代わって周皮が二次的な保護組織になる

若い枝の外側は表皮と皮層で覆われています。しかし形成層の活動で木部と師部が増え、枝の周囲が太くなると、外側にある表皮と皮層は面積を広げきれず裂けて脱落します。そこで二次師部などに新たな分裂組織であるコルク形成層が生じ、表面保護を引き継ぐ周皮をつくります。樹皮形成は、名前の暗記ではなく『肥大により古い覆いが破れ、新しい覆いへ交代する』過程です。

若い枝から周皮ができるまで
表皮と皮層が若い枝を保護する木部・師部の肥大で表皮と皮層が裂ける二次師部にコルク形成層が生じる形成層の内側にコルク皮層、外側にコルク組織ができる三者を合わせた周皮が保護を担う
周皮を構成する三組織
位置組織役割
内側コルク皮層コルク形成層が内側へつくる生きた組織
中央コルク形成層内外へ細胞をつくる分裂組織
外側コルク組織(コルク層)スベリンを含む細胞壁で水分喪失や外部からの侵入を抑える

樹木医の手引き 第4版 p.128 ES版 32頁

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各論 第2章 樹木の構造と機能10|樹皮
B深度III手引き 各論2章・10R3-22B|全体整理型

15樹皮の模式図

問題

次は樹皮の模式図であるが、図中のA~Cの組織名の組み合わせとして正しいのはどれか。

R3-Q22の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. (A)コルク皮層 (B)コルク形成層 (C)コルク組織(コルク層)
  2. (A)コルク皮層 (B)コルク組織(コルク層) (C)コルク形成層
  3. (A)コルク組織(コルク層) (B)コルク形成層 (C)コルク皮層
  4. (A)コルク組織(コルク層) (B)コルク皮層 (C)コルク形成層
  5. (A)コルク形成層 (B)コルク組織(コルク層) (C)コルク皮層
R3-22手引き 各論2章・10|樹皮
設問上の正解1

図では木部側から樹体外側へ向かって、A=コルク皮層、B=コルク形成層、C=コルク組織となる。形成層を境に、外側へコルク組織、内側へコルク皮層が形成される。

基本解説

樹皮の模式図は、紙面の上下ではなく『樹体の内側と外側』を先に決める

周皮は、コルク形成層と、それが外側につくるコルク組織、内側につくるコルク皮層から成ります。図の向きが変わってもこの形成方向は変わりません。模式図問題では、上が外側だと思い込まず、木部や二次師部の位置から幹の中心側と樹体外側を特定してから、三組織を当てはめます。

図中A~Cを読む手順
  1. 木部側を手掛かりに樹体の内側を確認する。
  2. 三層の中央にある分裂組織をコルク形成層とする。
  3. 形成層より外側をコルク組織、内側をコルク皮層とする。
  4. 掲載図ではA=コルク皮層、B=コルク形成層、C=コルク組織となり、選択肢1が残る。

樹木医の手引き 第4版 p.128 ES版 32頁

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