TREE DOCTOR EXAM · SYSTEMATIC REFERENCE V6.0.1

各論 第1章 樹木概論

収録10問。ワイド画面では左に問題、右に正答・解説を表示し、狭い画面では縦方向に読み進められます。

各論 第1章 樹木概論

各問題のランク・深度は詳細分析の正本です。学習状態は明示的に選択してください。

各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
AA深度II手引き 各論1章・2H30-01B|全体整理型

01日本に天然分布する樹種・帰化樹種

問題

次のうち、日本に天然分布している樹種の組み合わせとして、正しいのはどれか。

  1. イチョウ-コノテガシワ
  2. ウメ-スモモ
  3. エンジュ-シダレヤナギ
  4. シデコブシ-カラマツ
  5. スズカケノキ-ニセアカシア
H30-01手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解4

シデコブシは東海地方を中心に限られて自然分布し、カラマツも本州中部などに天然分布する。どちらも日本の在来樹種である。

基本解説

在来か外来かは、日本列島への自然分布で判定する

整理表
組整理
シデコブシ・カラマツともに日本に天然分布する。正答。
イチョウ・コノテガシワ日本で古くから植えられるが、原産・自然分布と植栽歴を区別する。
ウメ・スモモ中国などから古く渡来した栽培樹として整理する。
エンジュ・シダレヤナギいずれも中国原産として整理する。
スズカケノキ・ニセアカシア前者は欧州方面、後者は北米原産。
用語を押さえる
在来種
人為導入によらず、その地域に自然分布してきた種。『昔から身近』『和名がある』だけでは判定できない。
外来種
本来の分布域外へ人為によって導入された生物。導入年代が古くても外来という整理は変わらない。

樹木医の手引き 第4版 p.89 ES版 22-24頁

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
A深度III手引き 各論1章・2H30-10B|全体整理型

02APG体系による樹木分類

問題

次は、樹木の分類に関する記述であるが、文中のA~Dの空欄を埋める用語の組み合わせとして、正しいのはどれか。

近年、DNAの塩基配列の類似性に基づいた分類群が提示され、スギやメタセコイアなどはスギ科から(A)科へ、カエデ類はカエデ科から(B)科へ、ムクノキ、エノキはニレ科から(C)科へ、ヒサカキ、モッコクはツバキ科から(D)科への変更が提案されている。

  1. A:ヒノキ B:センダン C:クワ D:サカキ
  2. A:ヒノキ B:センダン C:クワ D:カキノキ
  3. A:ヒノキ B:ムクロジ C:アサ D:サカキ
  4. A:イチイ B:ムクロジ C:アサ D:カキノキ
  5. A:イチイ B:センダン C:アサ D:サカキ
H30-10手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解3

スギ・メタセコイア→ヒノキ科、カエデ類→ムクロジ科、ムクノキ・エノキ→アサ科、ヒサカキ・モッコク→サカキ科。重要なのは対応表だけでなく、DNA情報から推定した系統関係と分類群の範囲を一致させるために科が再編された点である。

基本解説

APG体系を、単なる科名変更の暗記ではなく『系統を分類へ反映する仕組み』として理解する

分類は、生物を種・属・科・目などの階級へ整理する仕組みです。古い分類は花や果実、葉、木材などの形態を主な手掛かりにしていましたが、似た形が必ずしも近い祖先を意味するとは限りません。そこでDNAの塩基配列を比較し、どの群がより新しい共通祖先をもつかを推定する分子系統解析が使われるようになりました。分類は不変の名簿ではなく、系統関係についての科学的理解が更新されると組み替えられるものです。

APG体系は、主として被子植物をDNA情報に基づく系統関係に沿って整理する分類体系です。基本となる考えは、ある共通祖先とそこから生じた子孫をまとめた『単系統群』に分類群の範囲を合わせることです。従来は別科とされた群が大きな一科へ統合されたり、一つの科が複数へ分けられたりするのは、このためです。なお、スギやメタセコイアは裸子植物なので、ヒノキ科への統合を厳密にAPGの変更と呼ぶのではなく、同時期に進んだ分子系統研究による分類再編として理解します。

設問に出る旧分類から現在の扱いへの対応
樹群従来の科設問で用いる科変化の型
スギ・メタセコイアスギ科ヒノキ科近縁群をヒノキ科へ統合
カエデ類カエデ科ムクロジ科カエデ科をムクロジ科に含める
ムクノキ・エノキニレ科アサ科ニレ科から系統に沿って移す
ヒサカキ・モッコクツバキ科サカキ科ツバキ科から系統に沿って分ける
この空欄問題の解き方
  1. まず、4組すべてについて『旧科名からどの科へ移ったか』を答えられるか確認する。
  2. 一つでも確実な対応を使って選択肢を減らす。例えばカエデ類=ムクロジ科で1・2・5を除外できる。
  3. 残った選択肢をムクノキ・エノキ=アサ科、ヒサカキ・モッコク=サカキ科、スギ類=ヒノキ科で照合し、3を選ぶ。

樹木医の手引き 第4版 p.89 ES版 22-24頁

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
A深度I手引き 各論1章・2H30-12C|重点誤答型

03モクセイ科モクセイ属

問題

モクセイ科の中でもモクセイ属の樹木は、緑化に用いられる機会が多く、庭園や公園などによく植えられている。モクセイ属の樹木に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. キンモクセイは、九州南部から東アジアを原産地として、日本でも広く植えられている。花は橙黄色で晩秋から初冬にかけて咲き、強い芳香がある。
  2. ギンモクセイは、キンモクセイの葉よりも幅が狭く披針形状になり、花は白色で芳香がある。中国原産で日本には明治以後に渡来し植栽されている。
  3. ヒイラギモクセイは、イギリスの園芸家フォーチュンがヒイラギとキンモクセイから作出したもので、樹形が美しく庭木や生け垣に用いられている。
  4. ヒイラギは、台湾から中国を原産地としている。葉の縁には2~5対の鋭い刺状の鋸歯がある。庭園などで緑起木としても広く植栽されている。
  5. ナタオレノキは、本州近畿地方以西の四国、九州、八丈島、小笠原にも自生地がある。若木の葉には刺状の粗い鋸歯がある。和名は幹が堅いことによる。
H30-12手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解5

ナタオレノキは近畿地方以西、四国・九州・島しょ部などに分布し、若木の葉に刺状の粗い鋸歯が見られる。材が堅く、鉈が折れるほどだという名の由来も判断材料になる。

注意すべき選択肢

1

キンモクセイの橙黄色・芳香という特徴はよいが、中国原産で、開花は秋を中心に捉える。九州南部原産・晩秋~初冬という組合せが誤り。中国原産/秋に橙黄色の芳香花、を一組にする。

3

ヒイラギモクセイはヒイラギとモクセイ類の雑種とされるが、フォーチュンがヒイラギとキンモクセイから作出したとする断定は不正確。雑種起源と園芸的利用は分け、作出者・親種を不用意に断定しない。

4

ヒイラギは日本にも自生するため、台湾から中国だけを原産地とする説明は誤り。刺状鋸歯の形態が合っていても、分布・原産地まで確認する。

基本解説

モクセイ属は、原産・葉・開花期を混ぜた誤答に注意する

試験で押さえる事項
  • キンモクセイは中国原産で、橙黄色の芳香ある花を秋に咲かせる。『九州南部原産』『晩秋~初冬』の組合せは不適切。
  • ギンモクセイはキンモクセイより古くから栽培され、葉形・渡来時期の記述を丸ごと入れ替えない。
  • ヒイラギモクセイはヒイラギとモクセイ類の雑種とされるが、園芸家がヒイラギとキンモクセイから作出した、という断定は誤り。
  • ヒイラギは日本にも自生する。原産地を台湾・中国だけに限定する肢は切る。

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
A深度II手引き 各論1章・2H30-13B|全体整理型

04葉による樹種識別

問題

次は、3樹種の葉の写真であるが、樹種の組み合わせとして正しいのはどれか。

H30-Q13の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. (左から)エノキ→ムクノキ→ケヤキ
  2. (左から)エノキ→ケヤキ→ムクノキ
  3. (左から)ムクノキ→エノキ→ケヤキ
  4. (左から)ムクノキ→ケヤキ→エノキ
  5. (左から)ケヤキ→エノキ→ムクノキ
H30-13手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解1

写真は左からエノキ、ムクノキ、ケヤキ。全体の輪郭だけでなく、葉の基部と鋸歯の出方を優先して見る。

基本解説

三種は、葉の基部・手触り・鋸歯で切り分ける

整理表
樹種識別キー
エノキ葉基が左右非対称になりやすく、基部から目立つ脈が走る。鋸歯は上半部で目立つ。
ムクノキ葉面がざらつき、鋭い鋸歯が目立つ。基部からの三行脈も手掛かり。
ケヤキ細長い卵形で先が鋭く、縁の鋸歯が明瞭。側脈が鋸歯へ向かう。
試験で押さえる事項
  • 写真問題では色や撮影倍率に引っ張られず、形態用語に変換して比較する。
  • 『葉基の非対称』『表面の粗さ』『側脈と鋸歯の対応』を観察順序として固定する。

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
C深度II手引き 各論1章・2R1-02A|選択肢別判定型

05クマノザクラと植物の命名

問題

2018年の春に紀伊半島から野生のサクラの新種クマノザクラが発見されたという話題がマスコミなどで大きく取り上げられた。植物の種(species)の命名・発表に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. クマノザクラは独立した種としての学名が正式に発表されたので、今後の研究によって、既存の種の種内分類群や雑種分類群とされるような分類体系上の扱いの変更はない。
  2. サクラの種は日本に数多く存在し、毎年のように新しい種が命名・発表されている。中でも、クマノザクラは鑑賞価値が高いため、大きな話題となった。
  3. 植物の種の学名は、国際登録機関による認定が必要であり、日本では日本植物分類学会が認定・登録を行っている。
  4. 植物の種の学名は、Cerasus kumanoensis T. Katsuki のように、属名・種形容語(種小名)のあとの発表者名(命名者名)を付すことが、命名規約上推奨されている。
  5. 植物の分類において、花の形態は重要で、花弁の枚数や色に明確な違いがあれば、新しい種として命名・発表される。育種によって、そうした種の発表数は年々増加している。
R1-02手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解4

植物の学名は基本的に属名+種形容語で表し、その後ろに命名者名を付記する。Cerasus kumanoensis T. Katsuki はその形である。

  1. ×
    選択肢1

    新種として有効に発表されても、後の形態・遺伝・交雑研究により、亜種・変種・雑種などへ分類学上の扱いが変わることがある。

    学名の発表は分類学的見解を永久に固定するものではない。
  2. ×
    選択肢2

    日本産野生サクラの新種が毎年のように発表されているわけではなく、クマノザクラは約100年ぶりの野生サクラ新種として注目された。

    話題性は鑑賞価値だけでなく、野生種としての分類学的発見にある。
  3. ×
    選択肢3

    植物学名は命名規約の要件を満たして公表するもので、国際登録機関や日本植物分類学会が個々の新種を認定する制度ではない。

    記載、タイプ指定、有効な公表など国際命名規約の要件に従う。
  4. ○
    選択肢4

    属名と種形容語からなる二名法の学名に、命名者を明確にする発表者名を付記した正しい表記である。

  5. ×
    選択肢5

    花弁数や花色の差だけで新種とはならず、園芸育種で生じた品種をそのまま野生植物の新種として扱うわけでもない。

    複数の形態形質、分布、生殖的隔離、遺伝情報などを総合して分類学的独立性を検討する。
基本解説

学名は公的機関の認定ではなく、命名規約に従って発表する

試験で押さえる事項
  • 新種名は国際藻類・菌類・植物命名規約に従い、記載・タイプ指定・有効な公表などの要件を満たして成立する。学会や国際機関が個別に『認定』する制度ではない。
  • 一度新種として発表されても、後の研究で別種の亜種・変種や雑種として扱いが変わることはある。
  • 花弁数や花色の違いだけで自動的に新種になるわけではない。複数形質、分布、遺伝情報などを総合して分類学的独立性を検討する。
用語を押さえる
タイプ標本
学名の適用を固定する基準標本。『その種の平均的な個体』という意味ではなく、名前の客観的なよりどころ。

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
A深度II手引き 各論1章・2R1-10A|選択肢別判定型

06裸子植物と被子植物

問題

裸子植物および被子植物に関する次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. 裸子植物には、前葉体(n)上で受精し有性生殖を行うシダ植物が含まれる。
  2. 裸子植物は、根、茎、葉の器官が分化するが、生殖器官としての花はなく、胚珠は発達していない。
  3. 裸子植物には木本と草本があるが、いずれも子葉は1枚で、維管束が発達しており、道管がある。
  4. 被子植物は根、茎、葉、生殖器官としての花をもち、雌花に子房壁があり、胚珠を包んでいる。
  5. 被子植物にはタケ類やヤシ類も含まれ、子葉は2枚で、維管束は未発達で道管をもたない。
R1-10手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解4

被子植物は花をもち、胚珠が子房内に包まれる。受精後、胚珠は種子へ、子房は果実へ発達する。

  1. ×
    選択肢1

    シダ植物は胞子で繁殖する維管束植物であり、種子植物である裸子植物には含まれない。

    シダ植物では配偶体である前葉体上で受精するが、裸子植物とは別群である。
  2. ×
    選択肢2

    裸子植物にも胚珠は発達する。被子植物との違いは、胚珠が子房に包まれず露出している点である。

    裸子植物は種子をつくるが、子房をもたず胚珠が裸出する。
  3. ×
    選択肢3

    裸子植物は基本的に木本であり、子葉数を一律に1枚とはできない。また木部は仮道管主体で、一般的な道管を欠く。

    裸子植物の木部は主に仮道管からなり、グネツム類など一部に道管がある。
  4. ○
    選択肢4

    被子植物では花の雌しべに子房があり、その内部に胚珠が包まれる。受精後、胚珠は種子、子房は果実へ発達する。

  5. ×
    選択肢5

    タケ類・ヤシ類は被子植物の単子葉類で子葉は1枚であり、維管束と道管をもつ。

    被子植物には単子葉類と真正双子葉類などがあり、すべてが子葉2枚ではない。
基本解説

胚珠が裸か、子房に包まれるかで大別する

整理表
分類群生殖器官の要点維管束
裸子植物胚珠が子房に包まれず露出する仮道管が主体。例外的に道管をもつ群もある
被子植物胚珠が子房に包まれ、花・果実を形成する道管をもつものが多い
シダ植物種子をつくらず胞子で繁殖する裸子植物には含めない

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
A深度II手引き 各論1章・2R3-01B|全体整理型

07樹皮による樹種識別

問題

次は3種類の樹幹の写真であるが、樹種の組み合わせとして、正しいのはどれか。

R3-Q01の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. (A)コナラ (B)イヌザクラ (C)イヌブナ
  2. (A)コナラ (B)シラカンバ (C)イヌブナ
  3. (A)クヌギ (B)イヌザクラ (C)ブナ
  4. (A)クヌギ (B)シラカンバ (C)イヌブナ
  5. (A)クヌギ (B)シラカンバ (C)ブナ
R3-01手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解5

A=クヌギ、B=シラカンバ、C=ブナ。樹皮の典型像がはっきり異なる三種なので、まずBとCを固定すると速い。

基本解説

樹皮写真は、裂け方・色・皮目の三点で読む

白い樹皮のBをシラカンバに固定平滑な灰白色のCをブナに固定深い縦裂のAをクヌギに決める
整理表
樹種樹皮の識別キー
クヌギ灰褐色~暗褐色で、縦に深く不規則に裂ける。コナラより裂け目が深く粗い。
シラカンバ白色の樹皮と横長の皮目が目立ち、紙状にはがれることがある。
ブナ灰白色で比較的平滑。イヌブナはより暗色でざらつきや縦筋が出やすい。

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
A深度III手引き 各論1章・2R3-02B|全体整理型

08種・属・科とAPG体系

問題

次のうち、(A)種名と(B)属名、(C)科名の組み合わせとして、正しいのはどれか。なお、種名・属名・科名は『改訂新版 日本の野生植物』(平凡社)の記述にしたがっており、APG体系に準拠している。

  1. (A)イブキ (B)ネズミサシ属 (C)ヒノキ科
  2. (A)ウバメガシ (B)オニガシ属 (C)ブナ科
  3. (A)エゾマツ (B)モミ属 (C)マツ科
  4. (A)ヒュウガミズキ (B)ミズキ属 (C)ミズキ科
  5. (A)フサザクラ (B)サクラ属 (C)バラ科
R3-02手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解1

イブキはネズミサシ属 Juniperus、ヒノキ科である。種名・属名・科名を三段で照合する。

基本解説

種・属・科の包含関係をつかみ、和名の連想に引きずられない

生物分類では、近縁な種を属にまとめ、近縁な属を科にまとめます。したがって『種名→属名→科名』は独立した三つの暗記ではなく、入れ子になった所属関係です。一方、日本語の和名は分類階級を保証しません。名前に『サクラ』『ミズキ』が含まれても、サクラ属やミズキ属とは限らないので、語感だけで判断すると誤答へ誘導されます。

各選択肢を属から検証する
種正しい属正しい科誤答になりやすい理由
イブキネズミサシ属ヒノキ科この三段がすべて一致する
ウバメガシコナラ属ブナ科『オニガシ属』ではない
エゾマツトウヒ属マツ科モミ属との取り違え
ヒュウガミズキトサミズキ属マンサク科和名の『ミズキ』による誘導
フサザクラフサザクラ属フサザクラ科和名の『サクラ』による誘導
組合せ問題の安全な確認法
  1. 各肢を左から一括して眺めず、まず種と属の組合せだけを確認する。
  2. 種と属が合う候補について、属が所属する科を確認する。
  3. 一項目でも誤りならその選択肢全体を除外する。本問では三項目がすべて合う1だけが残る。

樹木医の手引き 第4版 p.89 ES版 22-24頁

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
C深度II手引き 各論1章・2R4-02A|選択肢別判定型

09樹木の種内分類群

問題

次の樹木の種内分類群に関する記述のうち、正しいのはどれか。なお、付記した学名を根拠に正誤を判断することとし、標準和名と学名は『改訂新版 日本の野生植物』(平凡社)の記述にしたがっており、誤りはないものとする。

  1. イタヤカエデ(Acer pictum)とエンコウカエデ(Acer pictum subsp. dissectum)、エゾイタヤ(Acer pictum subsp. mono)、オニイタヤ(Acer pictum subsp. pictum)は、それぞれ亜種として区分される。
  2. トウヒ(Picea jezoensis var. hondoensis)は、エゾマツ(Picea jezoensis var. jezoensis)に含まれる亜種とされる。
  3. ケヤマハンノキ(Alnus hirsuta)と、ヤマハンノキ(Alnus hirsuta f. sibirica)は、変種として区分される。
  4. スダジイ(Castanopsis sieboldii subsp. sieboldii)とオキナワジイ(Castanopsis sieboldii subsp. lutchuensis)は、異なる種として区分される。
  5. マメザクラ(Cerasus incisa)は、変種としてのマメザクラ(Cerasus incisa var. incisa)とブコウマメザクラ(Cerasus incisa var. bukosanensis)、キンキマメザクラ(Cerasus incisa var. kinkiensis)の3変種に区分される。
R4-02手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解5

マメザクラ群には var. が付され、マメザクラ、ブコウマメザクラ、キンキマメザクラは同一種内の3変種として示されている。

  1. ×
    選択肢1

    エンコウカエデ、エゾイタヤ、オニイタヤにはsubsp.が付くが、イタヤカエデの学名Acer pictum自体は種を示す。列挙した全てを『それぞれ亜種』とはいえない。

    subsp.が付された名称を亜種として読む。
  2. ×
    選択肢2

    トウヒとエゾマツの学名にはvar.が使われているため、両者は亜種ではなく同一種内の変種である。

    var. hondoensisとvar. jezoensisは変種を示す。
  3. ×
    選択肢3

    ヤマハンノキの学名にはf.が付されており、変種ではなく品種(form)として扱われる。

    Alnus hirsuta f. sibiricaは種内の品種である。
  4. ×
    選択肢4

    両者はCastanopsis sieboldiiを共有し、subsp.で区別されるため、異なる種ではなく同一種内の別亜種である。

    スダジイとオキナワジイは亜種の関係として読む。
  5. ○
    選択肢5

    3名称はいずれもCerasus incisaを共有し、var. incisa、var. bukosanensis、var. kinkiensisとして3変種に区分される。

基本解説

学名の略号を読めば、種内分類階級は機械的に判定できる

整理表
表記意味読み方
subsp.亜種種の下位で、地理的・形態的にまとまりのある群
var.変種亜種より下位に置かれる種内分類群
f.品種(form)特定の形質差を示す下位分類群
試験で押さえる事項
  • 選択肢の日本語説明より先に、学名中の subsp.・var.・f. を読む。
  • 同じ種形容語を共有していても、subsp. が違えば『異なる種』ではなく同一種内の亜種である。

樹木医の手引き 第4版 p.89 ES版 22-24頁

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各論 第1章 樹木概論2|樹木の分類
A深度II手引き 各論1章・2R4-11C|重点誤答型

10樹皮・落葉による樹種識別

問題

次は、ある樹種の樹皮と落ち葉の写真である。この樹種の樹皮や葉形に関する記述のうち、正しいのはどれか。

R4-Q11の原本設問図版
原本から切り出した設問図版
  1. 樹皮は灰色または灰黒色で平滑、白色で円形の皮目を散生する。葉は互生で長さ1~2cmの葉柄があり革質で、葉身は長楕円状披針形または披針形で先端は鋭尖形、基部は広いくさび形である。上方の2/3にはやや鋭い低い鋸歯がある。
  2. 樹皮は灰黒色で平滑あるいはイボ状の突起を生じ、縦に列生する皮目がある。葉は互生で長さ1~2cmの葉柄があり革質で、葉身は狭長楕円形または狭長楕円状披針形で先端は鋭尖形、基部はくさび形または広いくさび形である。上半部にはやや鋭い低い鋸歯がまばらにある。
  3. 樹皮は黒褐色で、縦方向に浅く裂けて凹凸がある。葉は互生で長さ5mmほどの葉柄があり厚革質で硬い、葉身は広楕円形または倒卵状長楕円形で先端は鈍形または円形、基部は円形またはわずかに心形である。上半分の縁にはまばらに低い鋭い鋸歯がある。
  4. 樹皮は灰黒色または帯黄暗赤色で、皮目は目立たず粗渋あるいは鱗片状にはげ落ちる。葉は互生で長さ2~4cmの葉柄があり革質で、葉身は長楕円形または卵状楕円形で先端は急に細い鋭尖形となり、基部は広いくさび形である。全縁であるが稀に上方に波状の鋸歯がある。
  5. 樹皮は灰黒褐色で皮目が多く、大小不揃いな薄片となってはげ落ち、波状の文様ができる。葉は互生で長さ1~2cmの葉柄があり革質で、葉身は倒披針形または広倒披針形で先端は鋭尖形、基部は鈍形である。上半部に鋭い鋸歯がある。
R4-11手引き 各論1章・2|樹木の分類
設問上の正解5

選択肢5。灰黒褐色で不揃いな薄片状にはがれ、波状模様をつくる樹皮と、上半部に鋭い鋸歯をもつ倒披針形の葉が写真に合う。

注意すべき選択肢

1

平滑で白い円形皮目を散生するという樹皮記述が写真と合わない。不揃いな薄片状の剝離と波状模様を優先して読む。

3

縦方向に浅く裂ける樹皮、円形~心形の葉基部という組合せが写真と違う。樹皮の剝離様式と倒披針形の輪郭を同時に照合する。

4

皮目が目立たず粗渋・鱗片状、葉がほぼ全縁という記述が写真と合わない。皮目の多さと上半部の鋭い鋸歯を確認する。

基本解説

写真の特徴を『樹皮・葉形・葉縁』の三欄へ翻訳してから照合する

写真識別では、色だけに頼らない。まず樹皮が平滑か、縦裂するか、薄片状にはがれるかを見る。次に葉の最も幅広い位置から披針形と倒披針形を分け、最後に鋸歯が葉縁のどこまであるかを照合する。

観察軸写真で確認する特徴
樹皮皮目が多く、不揃いな薄片状にはがれて波状模様
葉形先端側が広い倒披針形~広倒披針形
葉縁上半部に鋭い鋸歯
披針形と倒披針形

披針形は基部寄りから中央が広く先端へ細くなる。倒披針形は先端寄りが広く、基部へ向かって細くなる。名称ではなく輪郭の重心で判定する。

樹木医の手引き 第4版 p.89 ES版 22-24頁

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